【犬と猫と人間(僕)の徒然なる日常。】第19話:はじめての北陸新幹線。

【犬と猫と人間(僕)の徒然なる日常。】第19話:はじめての北陸新幹線。

こんにちは、ふーぽ編集部です。

福井新聞社が発行するローカルライフマガジン「月刊fu」で連載中のエッセー《犬と猫と人間(僕)の徒然なる日常。》

福井県出身の編集者、小林孝延さんが、犬1、猫4との暮らしを、のんびりと綴っています。

第19回は、小林さんが福井へ帰省するために初めて乗ったという北陸新幹線の車内から始まります。

実は、「わんにゃんフォトアクション」審査のために、ふーぽ編集部にも来てくださった小林さん。
その模様はこちらからどうぞ。

小林孝延
こばやし・たかのぶ

編集者・著者。福井県出身。扶桑社発行の雑誌「天然生活」「ESSE」元編集長。石田ゆり子著「ハニオ日記」(扶桑社)、「保護犬と暮らすということ」(扶桑社)などを編集。犬1、猫4と暮らす。釣り好き。新著「妻が余命宣告されたとき、僕は保護犬を飼うことにした」(風鳴舎)が好評発売中。公式Instagram

第19話:はじめての北陸新幹線。

ふふふ、じつは今、「かがやき」の車内。

北陸新幹線ではじめての帰福。

昨日のうちに買っておいたドーナツとアイスコーヒーを楽しみながらこの原稿を書いている。

しかもテレワーク優先車両。

気が利いてる。

* * *

今日は、これから始まる福井でのとある事業の打ち合わせ。

東京から2時間50分。

その後いくつかの用事をこなしても、夜には世田谷の自宅に戻ってお腹をすかせたどうぶつたちにたっぷりのごはんと愛情を与えることができるのはありがたい。

* * *

これまで福井へは車で帰ることがほとんどだった。

病気を抱えた妻や子供達が一緒だったり、犬を連れていったり、なにより時間に縛られることが苦手な僕は出発や帰りの時間を気にせず気ままに旅できるスタイルがお気に入りだった。

ところが、である。

以前はまったく苦ではなかった片道6時間のドライブが最近苦痛になってきたのだ。

加齢だろうか。

そのせいで足が遠のいてしまった福井が新幹線のおかげでまた身近に感じられるようになった。

* * *

そういえば母親の介護のために毎週福井に帰っていた時期は、かさむ交通費を抑えるために深夜バスを使ったこともあったなあ。

だけど明け方に着く高速バスの停留所から実家のある坂井町までのアクセスが悪かったり、実家から入院先までの足がなかったり、結局地方に暮らすには車がなければ成り立たたないと痛感した。

母のいる三国駅近くの病院まではバスの待ち時間まで含めるとたっぷり2時間。

薄暗い病室、薬で眠る母親の傍でだれかが待合室に置いて行った文庫本を読んで過ごしたあの重苦しい時間は、交通の不便さと重なって僕を絶望的な気分にさせた。

今、高齢者の免許返納がさかんに叫ばれてはいるが、実際のところ都会では可能であっても地方では不可能じゃないのだろうか。

* * *

最近福井の身近さを感じたのはじつは新幹線ばかりではない。

つい先日、表参道での打ち合わせが相次いだとき、隙間時間でオンライン会議をやる場所を探していて見つけたのが、福井のアンテナショップ「ふくい南青山291」の2階にできたコワーキングスペースだった。

なかなかやるな、福井。

オンライン会議のあとインバウンドの客で賑わう1階のカフェでなつかしの「さわやか」を飲んだ。

ライムグリーンの泡に夏の光がきらきら輝く。

子供の頃、たしか60円だった記憶があるけど、今はいくらなのだろう?

* * *

新幹線は短縮される時間以上に希望みたいなものを感じさせる乗り物だなあと、流れる景色をみながら思う。

これからは頻繁に帰ろうかな。

あ、そんなこんなであっという間に福井が近づいてきた。

さあ、まずはお墓に直行してご先祖様にご挨拶です。

東京に帰るとなんだか圧力がすごいんです・・・

※掲載内容に誤りや修正などがありましたら、こちらからご連絡いただけると幸いです。

※本記事の情報は取材時点のものであり、情報の正確性を保証するものではございません。最新情報はお電話等で直接取材先へご確認ください。

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