【新連載 | 犬と猫と人間(僕)の徒然なる日常。】第1話:唐揚げ弁当は、春の香り。

【新連載 | 犬と猫と人間(僕)の徒然なる日常。】第1話:唐揚げ弁当は、春の香り。

こんにちは、ふーぽ編集部です。

福井新聞社が発行するローカルライフマガジン「月刊fu」で、2023年4月号から始まったエッセー《犬と猫と人間(僕)の徒然なる日常。》

福井県出身の編集者、小林孝延さんが、犬1、猫2との暮らしを、のんびりと綴っています。

楽しく、時に胸がじんわりと温かくなるエッセーを、ふーぽでもお届けしていきますよ。

小林孝延
こばやし・たかのぶ

編集者。福井県出身。扶桑社発行の雑誌「天然生活」「ESSE」元編集長。石田ゆり子著「ハニオ日記」(扶桑社)、「保護犬と暮らすということ」(扶桑社)などを編集。犬1、猫2と暮らす。釣り好き。公式Instagram

 

第1話:唐揚げ弁当は、春の香り。


たっぷりのにんにくと生姜で下味をつけた鶏もも肉に衣をはたいて、180度に熱した油にそろりと落とすと、じゃーっと勢いよく美味しそうな音が響いた。

今朝はわが家の大学6年生になる娘に最後のお弁当を作る日。

メニューには娘の大好物の唐揚げを選んだ。

「受験票もった? じゃ、がんばって」

今日の国家試験に合格すれば4月から娘は一人暮らし。

女子高生時代から長らく続いたパパ弁生活も終わりを迎え、東京のわが家には僕と元保護犬の「福」、元野良猫の兄妹「とも」と「もえ」が残されることになる。

ようやくなのか、いよいよなのか。

複雑な思いで、自転車で駅に向かう娘の後ろ姿を見送った。

わが家はもともと4人家族。

僕、妻、息子、娘。

7年前のある日、妻が末期がんで余命宣告された。

絶望の淵にあった僕たち家族は、もう一度楽しく暮らす時間を手に入れるために保護犬の福を迎え入れるという選択をした。

まわりからは病人がいるのに無謀だと言われたけれど、不思議な縁に引き寄せられるようにやってきた福のおかげで、新しい物語の幕が開き、日常は喜びとしあわせに溢れた。

その後、妻は旅立ってしまったが、よほど楽しかったのか予定よりもずいぶんと長くこの世に居座ってくれた。

その奇跡のような顛末をSNSで発信すると話題になり、テレビやラジオで何度も取り上げられた。

 



不思議な縁は続く。

妻の一周忌の法事の日、お勤めのために福井からお呼びした住職さんを駅に見送り自宅に戻ると、ベランダで見慣れない小さなハチワレの野良猫が2匹こちらをじっと見ていた。

うーん…これはもしやいたずら好きだった妻の仕業か?

このタイミングはそうとしか思えない。

とりあえず腹も空いているだろうと子猫たちにかつお節を与えると、それから毎日のようにやってきてベランダで長い時間を過ごすようになった。

そのうち窓を開けておくと勝手に家の中にはいってくつろぐようになった。

それが兄猫の「とも」と妹猫の「もえ」。

名前の由来はいずれまた。

ちなみに犬の名「福」は福井の福と幸福の福から名付けたもの。

女子だけどよく男子に間違えられる。

 

こうしてわが家は1匹増え、1人減り、2匹増え。

それから息子が一人暮らしをはじめて1人減り、いよいよ娘も独り立ち。

「かぞく」はずいぶんとかたちを変えつつ、泣いたり笑ったり、ときどき転んだりしながらなんとか前に進んでいる。

僕自身も保護犬や保護猫たちに導かれるように、いつしか動物たちとの暮らしを発信するのが仕事になった。

福井を離れてずいぶん経つというのに、ここに執筆する機会をいただいたのも不思議な縁。

この連載ではそんな犬猫凸凹な日々をつらつらと書き記せたらと思っています。

どうぞよろしく。

※掲載内容に誤りや修正などがありましたら、こちらからご連絡いただけると幸いです。

※本記事の情報は取材時点のものであり、情報の正確性を保証するものではございません。最新情報はお電話等で直接取材先へご確認ください。

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writer : ふーぽ編集部

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