知っておきたい「子宮頸がん検診」「乳がん検診」の基礎知識。毎日できるセルフチェックも。

知っておきたい「子宮頸がん検診」「乳がん検診」の基礎知識。毎日できるセルフチェックも。

「子宮頸がん」「乳がん」など女性特有のがんや病気は、定期的な検診が最大の防御になります。

今回は、知っておきたい基礎知識やセルフチェックと検診内容を届けます。

「女性特有の病気」チェックリスト

気をつけたい女性の病気のチェックリストです。

チェック項目はリスク因子や症状の一例。

他の病気の可能性もあるので、チェックがつけば要注意orすぐに病院へ。

 

ワクチンで予防ができる「子宮頸がん」

ウイルス感染が原因で、一度でも性交経験があれば誰もが罹患する可能性があります。

HPVワクチン接種で予防でき、定期検診で早期発見も。

□性交時の出血がある

□不正出血(生理期間以外の出血)がある

□異常なおりものが出る(異臭、ピンクや褐色)

□下腹部に鈍痛がある

「子宮頸がん」の詳細はこちら

 

9人に1人がかかる「乳がん」

乳房にある乳腺にできるがん。

妊娠や出産、授乳を経験する女性が昔より減ったことや食生活の変化で、患者数はこの40年で約10倍に。

□血縁者に乳がん患者がいる

□出産経験がない

□高齢出産を経験した

□早い初潮、遅い閉経

□肥満体質

□習慣的に喫煙や飲酒をする

「乳がん」の詳細はこちら

 

閉経前後~60代がピーク「子宮体がん」

子宮の奥にある子宮体部に発生するがんで、閉経後にリスクが高まる。

妊娠や出産回数が減り、月経がある期間が長くなったことで近年患者数が急増。

□不正出血がある ※閉経後ならすぐ受診

□異常なおりものが出る(血が混じる・量が多い)

□生理周期の乱れ、経血量の増加がある

 

静かに進行する「卵巣がん」

40~70代に多い、卵巣に発生するがん。

遺伝もあり、血縁者に乳がん・すい臓がん・前立腺がん患者がいるなら要注意。

子宮頸がん検診と合わせて、エコーで卵巣のチェックを。

□服のウエストサイズがきつくなった

□お腹の張りや痛み

□下腹部やわき腹にしこりがある

□食欲の低下、体重減少 

□生理不順

□頻尿や便秘

□背部の痛み

 

30代女性の3人に1人「子宮筋腫」

子宮の筋肉に生じる腫瘍のこと。

エコー検査で有無が分かります。

多くの場合経過観察になりますが、腹痛や頻尿、生理時の過度の出血(過多月経)、不妊の原因になっていれば手術することも。

□経血の量が多い(血の塊が多く出る)

□日常生活に支障をきたす生理痛がある

□8日以上生理が続く

 

ひどい生理痛の原因かも「子宮内膜症」

子宮の内側を覆う子宮内膜が、子宮以外の部位(卵巣など)にできてしまう病気。

生理痛や慢性的な腹痛・腰痛、不妊につながることも。

薬物療法や手術を行います。

□生理時以外にも持続的に腹痛・腰痛がある

□性交時や排便時の痛みがある

《教えてくれた人》品川明子先生 福井大学医学部 産科婦人科医師

 

「子宮頸がん」~妊娠や出産を脅かす。予防と早期発見を~

子宮の下部1/3が「子宮頸部」。腟に続いていて、経血や精子の通り道になるほか、出産時は胎児が通る産道にもなる

身近で怖い病気だから10代からの予防が大切。

子宮頸がんとは、子宮の入り口である“子宮頸部”にできるがん。

性交渉によってヒトパピローマウイルス(HPV)に感染することが原因で、20〜30代の若い女性でも発症することが特徴です。

初期は出血や痛みなどの自覚症状がなく、がん検診で発見されるケースが多い。

進行具合によっては卵巣や子宮を失うことになり、早期発見で子宮を残すことができても、治療後に早産や流産のリスクを高める可能性があるなど、女性の人生に大きな影響を与えてしまいます。

一方、原因が明らかで、予防法がある唯一のがんでもあります。

苦しまないためには、10代からのワクチン接種で感染を予防し、がんの手前で早期発見・治療するための検診が有効です。

\私たちにできること/

【HPVワクチン接種】

定期接種の対象は、小学6年~高校1年相当の女子。

市町から郵送された接種券にて無料で接種できます。

ワクチンの種類や年齢によって、いずれも半年以内に合計2~3回の接種が必要です。

【子宮頸がん検診】

ワクチン接種の有無に関わらず、2年に1度は検診を受けましょう

20歳以上の女性は、各市町から隔年で「1,000円で受けられる受診券」か「無料クーポン券」が郵送されます。

 

福井県 HPVワクチン接種の最新レポート

令和7年5月時点で、定期接種世代の2~3人に1人が接種。

令和4年度からワクチン接種の積極的推奨が再開され、接種率は徐々に増加。

「今年5月の最新データ(※)では高校1年生の初回接種率(少なくとも1回目を接種)は43.8%に。ちなみに北陸3県で福井は最下位。さらなる啓発を進めていきたいです」(品川先生)

※ワクチンJAPAN(vaccine-japan.com)より

《HPVワクチン1回目接種率(%)》

※令和6年3月末現在(参考:福井県HP「福井県における予防接種の状況」)

副反応による健康被害(病気になるなど)や重症化はゼロ。

接種後の副反応として主な症状は、赤みや腫れ、頭痛、発熱など。

「副反応の相談窓口に相談があったのは年間5件ほど。どれも経過観察をし短期間で回復しています。気になる症状があれば、気軽に医療機関に相談を」(品川先生)

子宮頸がん検診の流れ

❶問診表を記入する
受付を済ませ、問診票を記入。前回の生理日や周期などをあらかじめ確認しておくとスムーズ

❷問診
記入した問診票をもとに医師の質問に答えます。気になる症状があれば、このタイミングで相談を
※問診の有無やタイミングは病院や施設によって異なります

❸内診台へ移動する
内診台では下半身から下がカーテンで仕切られます。下着を脱ぐため、ゆったりとしたスカートが便利

❹視診・細胞診
子宮の入口を視診し、専用ブラシで子宮頸部の細胞をこすり取ります。細胞診の結果は後日郵送で通知されます

 エコー検査  ※オプション
腟の中やお腹の上から超音波をあてて子宮や卵巣の状態を確認します。子宮筋腫や卵巣腫瘍が見つかることも。

「乳がん」~早く見つかれば治療の選択肢も広がります~

乳管や小葉からなる「乳腺」は、乳房全体に張り巡らされているため、がんは乳房にまんべんなくできる。部位別の乳がん発生率では、乳頭より上にできやすい

身近な病気と自覚して日頃から乳房に意識を。

女性にとって最も多いがんである、乳がん。

“乳腺”にできる悪性腫瘍の総称で、主に乳汁の通り道である乳管や、乳汁をつくる小葉にできます。

30代後半から急激に増え、40〜50代に多く発症するのが特徴です。

大切なのは日頃から乳房の状態を意識して、変化があったらすぐに乳腺外科のある病院を受診すること。

必要以上に怯えなくても大丈夫。

「乳腺症」や「乳腺炎」「嚢胞(のうほう)」など、体調の変化によって現れる症状や良性のしこりの場合も多いです。

ただし、自己判断は絶対にNG。

乳がんは生存率が高く、治療により治る確率が高いため、「早期発見」が大きなカギ。

日頃のセルフチェックに加え、症状がない人こそ2年に1度は乳がん検診を受けましょう。

\私たちにできること/

【乳がん検診】

2年に1度は検診を。

40歳以上の女性は、各市町から隔年で「1,000円で受けられる受診券」か「無料クーポン券」が郵送されます。

【ブレスト・アウェアネス】(乳房を意識する生活習慣をもつ)

乳房は、子宮や胃、腸などと違って自分で触ってある程度は状態を確認できます。

セルフチェックでいつもの状態を知ることが、小さな異変を見逃さない第一歩。

月に1回のセルフチェックを習慣に

❶見てチェック
鏡に乳房を映し、左右の大きさや形に違いがないか、乳房に赤みやひきつれがないかを確認。腕を上下に動かし、角度を変 えながら全体を見ます。

❷触ってチェック
着替えや入浴時に、手でやさしく乳房をなでていつもと変わりがないかチェック。全体をまんべんなく、しっかり触ってみて。変化を感じたら病院へ。

 こんな変化があったら注意 

  • 【しこり】触ると硬い石のようなでこぼこがある
  • 【腫れ、赤み】乳房の一部や全体に腫れや赤みがある
  • 【分泌液授乳期以外に乳頭から分泌液が出る
  • 【ただれ】乳頭や乳輪が湿疹や水ぶくれでただれている
  • 【ひきつれ/くぼみ】皮膚が引っ張られて表面がくぼんでいる

検診の流れ

❶問診表を記入する
受付後、問診票を記入。気になる症状や最近の生理開始日、前回の検診日を事前に確認しておきます

❷検査着に着替える
ブラジャーやキャミソールなど、上半身の衣類はすべて脱ぎます

❸問診
医師と面談し、豊胸やペースメーカーの手術歴、更年期のホルモン療法歴があれば、医師に伝えます
※問診の有無やタイミングは病院や施設によって異なります

❹マンモグラフィー検査
乳房内のしこりを映し出せるX線検査。プラスティック板で乳房を圧迫し撮影します。結果は後日郵送で通知されます

※オプション
 エコー検査 
乳房の内部を観察。自費ですが、乳腺が発達した若い女性には適している場合も

 視触診 
検査の画像を見ながら医師が乳房を目で見て、直接触れて調べます(集団検診では行っておらず、個別検診でも省略されることが多い)

《教えてくれた人》 笠原善郎先生 福井県済生会病院 院長 乳腺外科

※掲載内容に誤りや修正などがありましたら、こちらからご連絡いただけると幸いです。

※本記事の情報は取材時点のものであり、情報の正確性を保証するものではございません。最新情報はお電話等で直接取材先へご確認ください。

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