「『問題解決』型のアートで 持続可能な未来を実現したい。」美術家・MAGOさん【ふくい人に聞く】

科学技術高を卒業し、東京の文化服装学院に進学。その後ファッションブランドの設立と廃業などを経ながら、2009年に新宿の路上での墨絵ライブペイントを皮切りにアーティスト活動を開始した。世界各国の路上に立ち、大規模イベントへの出演や企業CMに採用されるなど注目を集めてきた。

一見、華やかな道のりだが、常に表現や社会との関わり方に苦悩してきたという。

「派手なパフォーマンスをしても、どこか虚しさを感じていましたね。そこに意味があるのか、自分自身を信じられませんでした」。

2015年には、パリ同時多発テロ直後の現場を訪れショックを受け、絵筆を握れなくなった。

3年前、報道写真をきっかけにガーナのスラム街の現状を知ると、突き動かされるように同国へ飛んだ。先進国で豊かさを享受すること自体が不幸な現実を生んでいることに打ちのめされ、彼らのために力を尽くしたいと思った。

繰り返し同地を訪れて、通算850個ものガスマスクを届け、現地に学校を作るなど奔走。その中で、膨大な廃棄物をアート作品として生まれ変わらせることに行きついた。

「社会の暗部に光を当てて問題提起するのはアートの役割の一つ。だけど僕は、そこに経済の循環を生むことで、さらに進んだ“問題解決”まで引き受けたいと考えたんです」

目標はガーナにリサイクル工場を建設すること。ゴミの山が資源を生む宝の山に化ければ、持続可能な未来を描ける。世界的な企業が活動に賛同し支援が広がる中、約100億円という巨額資金もすでに夢物語でなくなり始めている。

「自分のエゴを捨てることで、僕の人生は大きくドライブし始めました。そして、アートには人を救い未来を作る力があると、今は強く信じています」