【後編】福井弁を徹底解剖!! ルーツや歴史、なまり、特徴を専門家に聞いてみたよ。福井県民なら知っておこう。

【後編】福井弁を徹底解剖!! ルーツや歴史、なまり、特徴を専門家に聞いてみたよ。福井県民なら知っておこう。

こんにちわ、バンショウです。

みなさん、福井弁しゃべり倒してますか??


大反響の前編に続いて、福井弁のルーツや歴史、なまり、特徴を紐解く記事の後編です。

知っているようで知られていない、そしてぜひ知っておきたい福井弁の秘密を今回もみっちりお伝えしますよ~。


(前編の要約)
福井弁のルーツは、ずばり京都! むかしむかし標準語だった京言葉を真似たい、と京都から福井へと広がり、だんだん変化していったのが「福井弁」なんです。
福井では、地域によって様々なアクセントが見られ、一つの県でこれだけ違うアクセントが存在するのは全国的に珍しいんだとか。
代表的な福井弁として取り上げられているのが「無アクセント」。この無アクセントがかなりのクセ者で、嶺北地方の県民を長年悩ませる「方言コンプレックス」の原因だったのです。
【 ⇒ 前編はこちらから

\お話を伺ったのは…/

加藤和夫先生
金沢大学名誉教授。越前市生まれ。
北陸方言のエキスパートとして、多方面で活躍。
メディアなどで方言の監修も務める。

 

方言撲滅へと進んだ日本の政策

かつて、300年近く続いた江戸時代の幕藩体制。


徳川幕府が敷いた藩の境界線によって、地方の人々の行動範囲が限られ、全国で方言にハッキリとした違いができてきました。


当時の庶民にとって、別の藩に行くことはそれはそれは大変なこと。

 



そこで人の交流が経たれ、各地域で独自の方言が確立されていったのです。

なので福井県と石川県の県境、なんの地理的障害もない吉崎の辺りで、方言の境界線が出来ているのもその名残なんだとか。

江戸時代は、方言にとって「幸せな時代」だったと先生は言います。

今みたいに標準語みたいなものも意識されず、近くの人と方言だけで話していて何も困らない時代が300年近く続いたのですから。

 


それが明治時代に入り、標準語を決めなければいけない動きが出てきて、方言が邪魔者扱いされ始めたというわけです。


軍隊を組織する時にいろんな地域から人が集まると、兵隊間で会話が成り立たない。それぐらい方言が違っていたんです。


ここに気づいた当時の政府の人達は「これはマズイ!」と。



そこから国をまとめるためには言葉の統一が必要と考え、”方言撲滅・矯正”をスローガンに、国語教育をスタートさせていきます。

 


つまり、過去には方言が「汚い言葉!」「悪い言葉!」と否定された時代があったのです。


まずこの歴史が、地方の人々の方言コンプレックスの根底にあります。


コンプレックスの確立

明治時代後半から戦後しばらく、こうした教育を受けた世代が子育てで、「方言は汚い言葉、悪い言葉」と子どもに教える。

そうして、方言コンプレックスは受け継がれてきました。


そしてもうひとつ。

地方の人たちの方言離れに、大きな影響を与えるものが登場します。

ラジオとテレビの普及です。

 



特にテレビの登場により、福井弁に劣等感を持つ人たちは、これらをお手本にできるだけ標準語を喋ろうとするようになってしまった。

 

この結果、”方言は恥ずかしいもの”という意識をさらに高めることになったのです。

加えて、メディアの登場で表面化した「自分の県にはなにもない」という地域コンプレックスも、この方言コンプレックスに拍車をかけることになってしまいました。


直そうにも直んない、出てくる”なまり”

ところが標準語をいくら真似て喋っているつもりでも、なぜか”なまっている”と指摘される福井の人たち。

その原因が、無アクセントにあることはあまり意識されていませんでした。
元々アクセントのルールが無い人が、標準語的なアクセントで話すことは、至難の業。

先生いわく、「単語のアクセントを真似るというより、標準語的な話し方を真似るようにした方がいいでしょう」とのこと。


東京在住の福井県民の中には、標準語を話しているつもりなのに”なまっている”と言われ続けている人が多くいます。

そうした人たちは原因が「無アクセントにある」と分からないため、ずっと悩んでいるそうです。



自分が何でなまっているのか分からないまま指摘される続ける。すると、無アクセント地域出身の方言コンプレックスはどんどん深刻なものに…。


う~む、福井弁らしさが県民のコンプレックスの原因にもになっていたとはジャミジャミ、いや複雑な気持ちです。

とはいえ1980年以降、「地方の時代」が叫ばれるようになると徐々に、方言の見直しが始まっていきます。


福井弁が個性として尊重される時代に

加藤先生らが行った前回の方言意識調査から約20年後に、福井市で再調査が行われました。

結果、「自分の方言が好き」と答えた割合が前回に比べ倍増したそうです。


先生によると、近年全国的に方言が見直されているおかげで、福井弁が「恥ずかしいもの」ではなく「地域の特長なんだ」と考える人が増えてきた。

ドラマや映画で福井弁が登場したり、施設名や商品名、キャッチコピーなどに方言が使用されることで「方言の見える化」が進んだこともその一因に挙げられるそうです。

 

福井商業高校チアダンスチーム「JETS」がモデルのストーリーは映画だけでなく、ドラマにもなった

方言に対する全般的な評価が高まってきたことで、福井弁が個性として尊重される時代へと移り変わってきました。

今では、「標準語の他に方言も喋れていいよね」と羨ましがられることもあるんだとか。

 

絶滅するもの、進化するもの

福井弁に光が当たり始めた一方で、不遇の時代を経た多くの言葉が姿を消していきました。

一体、なぜか?

それはテレビに代表されるメディアの強い影響により、全国的に意味が通じる標準語が普及したから。

特にコンプレックスの強かった福井は、方言を捨てて標準語に乗り換える傾向が北陸3県で最も目立つそう。

なので、絶滅してしまった福井弁も数多くあるのです。


先生が行った調査によると、福井弁として有名な「ぎょうさん」「のくてー」「だんね」などは、若い世代で話す人がほとんどおらず絶滅しかけていることが分かりました。

 

こうした消えていく言葉がある一方で、新たに生まれてきた福井弁もあります。

それが方言独自の変化を遂げた「新方言」。

代表的なものには、「~テモタ、~テンタ」から変化した「~ツンタ、~ズンタ」が挙げられます。



さらに標準語の干渉を受けて生まれた「ネオ方言」

よく聞く「~シロマ」なんかは、本来の「~シネマ、~セーマ」が標準語「~シロ」の干渉で生まれたネオ福井弁なのです。

方言への意識が変化したことは、時代を新しい方向へと動かします。

 

方言をコスプレする時代へ

方言の評価が高まったことで巷では、気分によって各地域の方言を使い分ける人も出てきたそうです。

その時の雰囲気に合わせて「なんでやねん!」、「今日は天気よか~」。


まるで衣装を着替えるかのように話す人たちの登場は、方言のコスプレ化・ファッション化などと言われています。


福井県内を見てもずっと福井弁を喋っているんじゃなくて、ある場面では標準語を話すし、ある場面では関西弁よりの言葉に着替えたりする。


そういった一種の”バイリンガル”のようなことを、普通に出来る人たちも出てきた、と先生は言います。


だけど標準語に着替えたつもりでも、やはりなまってしまうのが福井人。もはや無アクセントのご愛嬌です。


でも、昔と違い今はそれでも”カワイイ”と言われるんだとか。

方言にとっては、とても素敵な時代が到来していますね。


京都を出発した言葉は、福井の地で人々の生活を支える方言に。
そして今、否定された時代から肯定される時代へ。


以上、ここまでが福井弁が歩んできた道のりでした。



いかがでしたか?


こうやって歴史を辿ってみると、改めて福井弁にすごく愛着がわいてきました。
私たちの地域の人しかうまく喋れなくて、隠そうとしても”なまり”を残していく憎めないやつです。


すでに絶滅してしまった言葉も多くあり残念ではありますが・・・そこは恐竜王国・ふくい!!
恐竜が鳥へと進化し、時代に対応したように。

新たに進化した福井弁とともに眠る福井弁を発掘して、今こそ思う存分使って行こうではありませんか。


時代は方言でコスプレする時代。

なにより「うららの大事な母語なんやでさ!!」。

※掲載内容に誤りや修正などがありましたら、こちらからご連絡いただけると幸いです。

※本記事の情報は取材時点のものであり、情報の正確性を保証するものではございません。最新情報はお電話等で直接取材先へご確認ください。

バンショウ
writer : バンショウ

たったひとつの真実を見抜く。
見た目は大人、頭脳は子供、体力は老化。
名探偵になれなかったアラサー男が、あしたの福井の話題を探って行きます。

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