絵本作家 刀根里衣さんに聞いた絵本のはなし。福井の本屋店主がオススメするとっておきの3冊も。

    絵本作家 刀根里衣さんに聞いた絵本のはなし。福井の本屋店主がオススメするとっておきの3冊も。

    こんにちは、ふーぽ編集部です。

    楽しくなったり、切なくなったり、はっとしたり。

    絵本はいろいろな気持ちを教えてくれますよね。

     

    今回は絵本に関するお話を2部構成でお届け。

    前半でイタリア在住の作家、刀根里衣(とねさとえ)さんと絵本についてお話してきました。

    後半は福井の本屋店主2人に教えてもらった心に残る絵本を紹介します。

      絵本作家
      刀根里衣(さとえ)さん

      1984年、敦賀市生まれ。2011年にイタリアの出版社からデビュー。翌年イタリアに渡り、現在までミラノを拠点に創作活動を行う。
      ボローニャ国際絵本原画展に2年連続入選し、日本人初の「国際イラストレーション賞」を受賞。福井県立美術館の企画展「今、あなたにつたえたい ミリオンセラー・ロングセラーの絵本たち」(2022/9/30~11/6)に参加

      絵本が好きだから、 描きたいものを届ける。


      絵本作家の刀根さんに、どうして絵本を描くのか伺うと、「好きだから」と一言。

      幼い頃から絵が好きで、夢はイラストレーターでした。

      大学でデザインを学び、子ども服の会社に勤務後、イギリスで1年間の語学留学の際、「ボローニャ児童書ブックフェア」に出かけたのが、絵本作家を目指すきっかけになりました。

      帰国して初めて作った絵本サンプルをブックフェアに持ち込んだところ、現地の編集者の目にとまり、 2011年に“Qu estoposso farlo”でイタリアデビュー。

      翌年にはミラノに拠点を移し、12、13年に絵本作家の登竜門といわれる「ボローニャ国際絵本原画展」に連続入選。

      さらに国際イラストレーション賞(※)を受賞した“El viaje de PIPO”を スペインで刊行し、各国から高い評価を受けました。

      2014年にはその日本語版『ぴっぽのたび』、翌年にデビュー作の日本語版『なんにもできなかったとり』が出版されました。

      ※国際イラストレーション賞
      イタリアのボローニャで毎年開催される「ボローニャ国際絵本原画展」。入選作家のなかから国際イラストレーション賞が授与され、受賞者には奨学金と絵本の出版権が贈られる。新作絵本は翌年のフェア会場で発表

       

      ヨーロッパと日本で絵本を制作するうち、両者で絵本のとらえ方が違うことに気付いたといいます。

      「ヨーロッパでは日本のように絵本=児童書ではなくて、子どもから大人まで読むもの。ストーリーも起承転結にこだ わらず、曖昧に始まり曖昧に終わってOK。絵本はアーティストの表現手段のひとつなんです」

       

      繊細な筆づかいと美しい色彩、いい意味で日本的ではない自由な作風が刀根さんの真骨頂。

      “刀根ブルー”と呼ばれる印象的な青は透明感を引き出したり、セピアの下地に重ねて厚みを出したり、細やかに表現さ れます。

       

      ストーリーは自身の経験や心に残るワンシーンから紡ぎ出すという刀根さん。

      2018年にイタリア人男性との間にノアくんを出産したことで、作りたいものに少しずつ変化が生まれたといいます。

      「以前は自分が作りたいものでしたが、今はノアに読ませたいものになりました」。

      ノアくんとの毎日のなかで、子ども視点の考え方やモノの見方を発見し、絵本作りのヒントになっているといいます。

       

      思い入れの強い3冊を選んでもらうと、まずはデビュー作『なんにもできなかったとり』

      「結末に賛否があって。私はポジティブに描いたつもりなので驚きました。でも解釈は人それぞれだから、思ったまま受け止めてほしいですね」。

      『なんにもできなかったとり』刀根里衣 著 NHK出版 2015年

      なにをやってもうまくできない不器用な一羽のとりは、当時、無力感を抱いていた作者自身の経験から生まれた。生きるとはなにか、幸せとはなにかを考えさせられる結末に心が震える。
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      2冊目は絵本作家として歩む背中を押してくれた『ぴっぽのたび』

      四季を丁寧に描き、「自然と生活が深く結びつく日本人としての感性があらわれているかも」と刀根さん。

       

      『ぴっぽのたび』刀根里衣 著 NHK出版 2014年

      悲しいことばかりで夢を忘れた孤独なカエル“ぴっぽ”。小さな羊との夢探しの旅で見つけたものとは…。豊かな四季の移ろいと主人公の心の軌跡を色鮮やかに、かつ細やかな筆致で描く。
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      3冊目の『モカと幸せのコーヒー』は、考えすぎて自分らしい表現ができない時期に作った一冊。

      『モカと幸せのコーヒー』刀根里衣 著 NHK出版 2016年

      日常に疲れ、傷ついた青年の前に現れた、白くて小さいうさぎのモカ。モカとその仲間が作る幸せのコーヒーが青年の心を溶かし、希望に満ちあふれていた過去を思い出させてくれる。
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      「“ひとりよがりでもいっか”と 開き直って好きに描くうちに楽しさを思い出しました」。

      日常に疲れた主人公が希望を取り戻す内容に、大人の読者から大きな反響があったそうです。

       

      “刀根ブルー”が印象的な『うさぎじかん』(刀根里衣 著/NHK出版/2021年)

      ノアくんと一緒にお絵描き。青色が好きなのは刀根さん譲り?

       

      絵本で伝えたいことは「特にないですね」とポツリ。

      「自由に感じてほしいから、本当はコンセプトも伝えたくないくらい」と笑う刀根さんは、驚くほど自然体です。

      読者に寄り添いながらも、描きたいことを絵本にしています。

      受け取り方は読者におまかせ。

      そのナチュラルで凛とした筆から、心の琴線にふれる、唯一無二の作品が生み出されています。

       

       

      福井の本屋店主2人にきいた思い出の絵本

      個性的な選書と店づくりで本との出合いを演出する本屋の店主2人に「とっておきの3冊」を伺いました。

      心に残る絵本とは…。

      A Sleep Store 店主 野寺由夏さんの心に残る本

      \教えてくれた人/

      A Sleep Store 店主
      野寺由夏さん

      関西の大型書店で児童書を担当し、福井の図書館、書店勤務を経て2021年11月に店をオープン。
      定番から新刊まで約300冊の児童書を取り揃える。

      美しい絵と心地よい言葉。

      私にとって絵本は画集。

      とにかく絵の表現力に圧倒される、きくちちきさんやミロコマチコさん。

      ページをめくるたび、美しい絵と心地よい言葉に包まれて、心が豊かになるのが分かります。

      思わずクスッとなる、ひとり遊びの天才『ふくろうくん』に癒やされたり。

      こんな絵本の楽しさを、子どもはもちろん、大人にも知ってもらいたくて始めたお店です。

      今後は原画展や大人だけの読み聞かせ会で、新たな絵本の魅力を伝えていきたいと思っています。

      『ゆき』
      きくちちき 作 ほるぷ出版 2015年

       
      作者の出身地・北海道の原野に降る雪をイメージしながら描いた雪は叙情豊か。
       
      繊細でいて力強く軽やかな筆致で描く絵に魂を揺さぶられます。
       
       
      『ふくろうくん』
      アーノルド・ローベル 作、三木卓 訳 文化出版局 1987年

       
      ひとりで暮らすふくろうくんは、お人好しで心優しく、一度考え出すと止まりません。

      「ふくろうくん好きは、みんな友達になれます」。

       

      『オオカミがとぶひ』
      ミロコマチコ 作 イースト・プレス 2012年

       
      ある風の強い日、オオカミが空をかけまわる!?

      圧倒的なエネルギーで描く動物や、詩のような文に心をノックされます。

      「大人も読みごたえあり」。

      A Sleep Store(ア スリープ ストア)



      福井県坂井市丸岡町北横地38-10
      【営】日曜、 第1・3・5月曜 13:00~19:00
      Instagram
      ※営業情報はSNSで確認

       

      AKUSHU BOOK & BASE 店長 石田美香さんの心に残る絵本

      \教えてくれた人/

      AKUSHU BOOK & BASE 店長
      石田美香さん

      書店員歴20年以上。
      2020年開店の「AKUSHU」では“誰かのきっかけになれる本”をセレクトする。
      「実る」「学ぶ」などテーマごとに作る本棚もユニーク。

      優しい世界に満たされる。

      今まで「この本があったから今の自分がいる」という出合いが何度もありました。

      本は大人になってあらためて読むと心に響くものが多いですね。

      人生に寄り添って、希望を感じられるお話に惹かれます。

      『すてきな三にんぐみ』は、ちょっと怖そうな盗賊が実は優しいというギャップが好き。

      儚さと優しさが交差する『花さき山』は大人にこそ読んでほしい。

      プレゼントにおすすめなのは『ころりん・ぱ!』。

      お子さんが夢中になって遊んでくれますよ。

       

      『すてきな三にんぐみ』
      トミー・アンゲラー 作、いまえよしとも 訳 偕成社 1969年

       
       宝集めに夢中だった黒マントに黒帽子の3人組の大盗賊。
       
      ある時、盗んだ宝のすてきな使い道を思いつき…。
       
      「心がじんわりとする優しい物語です」。
       
       
      『ころりん・ぱ!』
      ひらぎみつえ 作 ほるぷ出版 2019年

       
      わっかの“ころりん”を、「かくかく」や「ぐるぐる」などのコースで転がして遊ぼう。

      視覚・触覚・聴覚に楽しく働きかける、新しいしかけ絵本。

       

      『花さき山』
      斎藤隆介 作 滝平二郎 絵 岩崎書店 1969年

       

      山菜を採りにいって道に迷い、“山ンば”に出会ったあや。

      優しいことをすると美しい花がひとつ咲くという“花さき山”の感動の物語。

       

      AKUSHU BOOK & BASE



      福井県福井市大和田2-1212 Lpa 2F
      ☎︎0776-97-9876
      【営】10:00~20:00
      【休】Lpaに準ずる
      公式ホームページ



      いかがでしたか?

      大人になるとなかなか読む機会がなくなる絵本。

      日常生活の中でふと立ち止まって、絵本を開くと、新しい何かを発見できるかもしれませんね♪

       

      ※掲載内容に誤りや修正などがありましたら、こちらからご連絡いただけると幸いです。

      ※本記事の情報は取材時点のものであり、情報の正確性を保証するものではございません。最新情報はお電話等で直接取材先へご確認ください。

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