【ふくいデザイン探訪Vol.5・プラスジャック株式会社】普段はアクセサリー、いざという時は音が鳴る。めがねの素材で作る、おしゃれな防災笛。

【ふくいデザイン探訪Vol.5・プラスジャック株式会社】普段はアクセサリー、いざという時は音が鳴る。めがねの素材で作る、おしゃれな防災笛。

こんにちは、ふーぽ編集部です。

デザインセンターふくい(公益財団法人ふくい産業支援センター デザイン振興部)が展開している「DESIGN CONNECT」事業。

今年11月25日からの約1カ月間、県内企業のデザイン活用事例等を紹介する「デザインコネクト展」を、福井ものづくりキャンパスで開催予定です!


展示会に先立ち、ふーぽ上では「ふくいデザイン探訪」と題して、デザインの観点を取り入れ、企業ブランディングや商品・サービスの開発を行った、県内企業の先進事例を、全10回にわたり紹介していきたいと思います。

 

今回は、デザインを活用した商品企画開発に取り組むプラスジャック株式会社をご紹介します。

 


デザインの活用によって成長が期待される製造業・農林水産業・飲食業・サービス業等、様々な企業やクリエーターに向け、デザイン導入事例や先進事例を紹介する「オンライン講座」や「デザイン展」を開催。

新しい時代を切り拓く、人の心を魅きつける商品やサービスはどのようなものか、どのように生み出されるのか、県内外で活躍するクリエーターや県内企業とともに考え、そこからはじまる新たなアクションを応援します。

【⇒過去のデザインコネクト関連記事はこちらから】

◆ アセテート素材のアイテムを一貫生産

眼鏡の一大産地・鯖江市で、樹脂素材のアセテートを使った眼鏡フレームや雑貨類を幅広く手掛けるプラスジャック株式会社。分業が多い鯖江の眼鏡業界で、眼鏡フレームを小ロットで一貫生産できる数少ない企業の1つです。

「セルフレームを作る会社として祖父が創業し、父の代で眼鏡のパーツメーカーに移行しました。

私は県外に出て建築関係の仕事に就いていたのですが、父から会社を継いでほしいと言われて鯖江に戻ってきました。

そこで会社の経営状況がかなり悪化していた事実を知り、このままではいけないと、改革に乗り出したんです」

と当時を振り返る、社長・津田功順さん。

 


作業効率を上げるための機械の導入や作業工程の見直し、部品製造単価の引き上げ交渉などの取り組みを進める中、利益を生むには自社商品を作るしかないという結論に至りました。


「もともと、鯖江の眼鏡産地はそれぞれ自社ブランドを持っていたのですが、ライセンスブランドの全盛期に、オリジナルのものを作る会社が激減したんです

この会社もその一つだったので、改めて原点回帰をしようと考えました」。

 


自社の眼鏡フレームを開発したり、眼鏡業者たちが集まる「鯖江ギフト組」で雑貨を作ったりする中、「何を作ればいいか分からない」という壁にぶつかることもあったそう。

そこで津田さんが調べたのが、鯖江がなぜ眼鏡の産地になったのかという歴史です。


あるひとりの女の子を助けたことが始まりと分かり、これが自分たちのものづくりの使命なんだと気付かされました

そこから『助ける』をテーマに、新たな視点で商品開発に取り組んでいきました」。

 

◆ 素材と技術を生かした「防災笛」の開発

2013年頃、津田さんのもとに、鯖江市の防災課から「防災用の笛を作ってもらえませんか?」と依頼が舞い込みました。

市が防災笛を配布しても、普段から身に着けてはもらえないという問題を、アセテート素材と加工技術を生かしたアクセサリーのような笛を作って解決したいという願いでした。


「笛の製造は未知の領域だったので、まず音の出る仕組みや必要となる音の大きさ、音域などの研究から始めました。

瓦礫の中からでも聞こえやすい音域と、救助犬に届く音域を織り交ぜ、子どもや女性にも吹きやすく、大きな音を出しやすい構造を目指しました」。


試作を重ねて理想の音と構造が形になり、経済産業省のクールジャパン商品に応募をしたところ、


商品のコンセプトと音は良いけど、見た目がいまいちだと言われてしまいました。

それまでデザインは自社で考えていたのですが、ちゃんとデザイナーを起用して、ターゲット層に響くデザインにしなければいけないとアドバイスをいただき、方向転換を図ることになりました」。

 

開発初期の防災笛

 

◆ いつも身に着けていたくなるデザインに

女性をメインターゲットに据えてネックレス型に仕上げることを決め、知り合いの女性デザイナーにデザインを依頼。

出来上がったのが「effe(エッフェ)」シリーズです。

 


まさしくアクセサリーのような見た目

底面に吹き口があり、強く吹かなくても高音で響く音が出るという機能性も備えています

 

「さすが、餅は餅屋だと思いましたね。形も色も、ターゲット層に合わせてデザインしてくれました。

クールジャパン商品の審査にも通って、展示会では予想以上の大きな反響がありました。やっぱり見た目は大事なんだと、改めて気付かされました。

SNSのフォロワーも増えて、『こんな商品が欲しかった』とか『子どもに持たせます』とか、お客さまの声が直接届くようになったことも嬉しかったです」。

 

◆ オリジナルのデザインを守るために

「年齢や性別を問わず持ちやすいものが欲しい」というユーザーの意見から、アルファベット型やアニマル型など、新たなデザインの防災笛を展開していきました

 

世の中に知られるようになる中で、津田さんはデザインの保護にも取り組み始めます。

「色々調べていると、笛というもの自体には新規性がないから特許を取れないことが分かり、形状だけで意匠権をとっても、まねされる可能性があるからどうしようと悩んでいたんです。

そこで、グッドデザイン賞を獲ったらどうかとアドバイスを貰いました。

賞を獲っていれば、今後似た商品が出てきたとしても、オリジナルはうちの会社だぞと自信を持って示せるので」。

 

◆ コロナ禍でも工夫して情報発信を

何を作ったらいいか分からないと悩んでいた時期に、デザインセンターふくいへと足を運んでいた津田さん。

当時は相談をする立場でしたが、今では同センターの主催する「グッドデザイン賞応募説明会」のパネラーとして話をしたり、昨年は、福井のものづくりを東京「松屋銀座」で発信した出展メンバーとしても参加をしました


「これからは、また眼鏡に立ち返った商品展開をしていきたいと考えています。

会社に隣接のショップで、検眼からフィッティングまでできる設備も整えました」。

 

 

新型コロナウイルスの流行により、直接来店しての購入が難しくなる中、オンラインで解説動画を見ながら、自分でフィッティングできる眼鏡「COUJU(コウジュ)」を開発。

子どもから大人まで楽しめる眼鏡」をコンセプトに、5段階のサイズ展開で、金属アレルギーにも対応しています。

 

 

「以前から工場見学を受け入れていたのですが、コロナ禍で人が訪れなくなり、どうにかして発信しなくてはと頭を悩ませていました」。

そうした中、産地の新たな可能性を探索する商品開発プロジェクト「RENEW LABORATORY」で、大阪在住のデザイナー・吉鶴かのこさんとコラボレーションすることに。


眼鏡づくりの背景を、子どもも楽しめる絵本に落とし込んだ「めがねづくりのこびとさん」という一冊が出来上がりました。

 


眼鏡づくりの一連の流れを分かりやすいストーリーにして、機械や部品は細かく描き込んでもらいました

お店にもこびとサイズの扉をつけたり、今後はSNSも連動して楽しんでもらえるようにしていきます。

まずは鯖江という産地について、材料について、作られる工程について知ってもらって、お客さまに選んでもらえる流れをメーカーが作らないといけないと考えています

その先進事例になれるよう、色んな挑戦をしていきたいです」。

 

プラスジャック株式会社

鯖江市御幸町1-301-11
☎0778-53-1885

公式ウェブサイトはこちら

※掲載内容に誤りや修正などがありましたら、こちらからご連絡いただけると幸いです。

※本記事の情報は取材時点のものであり、情報の正確性を保証するものではございません。最新情報はお電話等で直接取材先へご確認ください。

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writer : ふーぽ編集部

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