【後編】週刊少年ジャンプ編集長は福井県出身!! 創刊50周年で「ふーぽ」が特別インタビューしたよ!

■最近の漫画は画力は高いが、新しい個性が足りない。

ふーぽ
さきほど読者が多様化してきたというお話がありましたが、漫画家にも最近の変化というのはありますか?
 

中野編集長
全体的に絵は確実に上手くなってますね。

今は読者も目が肥えていて、ある程度画力がないと、人気アンケートで生き残れないんです。

だけど、個人的には「新しさ」が足りない気がしています。

例えば、昔の漫画家は、映画や文学の影響を受けて「こういうものが描きたい」って漫画を描く人がいた。ほかの人の漫画はあまり読まないという漫画家も結構いましたよ。

それに比べて今の漫画家は、大ヒットした漫画をたくさん読んで育ってきて、例えば「ONE PIECE(ワンピース) や NARUTO-ナルト- みたいな漫画が描きたい」といって業界に入ってくる。

さまざまな漫画のストーリーや絵をたっぷり見てきた経験を活かして描いているから、どちらもかなり高いレベルではあるんだけど、まったく新しいぶっ飛んだ個性というのは生まれにくいかもしれない。
 

ふーぽ
なるほど、わかる気がします。

それにしても、画力にもストーリーにも高いレベルを求めらるなんて、今の漫画家って本当に大変そうですね。
 

中野編集長
そうなんですよ。大変なんです。

ライバルの雑誌の話が出ていましたが、現在は季刊やら月刊やら隔週やらいろんな形態の雑誌が増えていて、月刊でじっくり描いている作品と、週刊で描いている少年ジャンプの作品が、画力で戦わないといけないつらさがある。

また、ONE PIECE(ワンピース)は高いレベルの画力を維持できているけれど、読者から見れば、新人もそれと同じ土俵で比較されちゃいますからね。

 

 

ふーぽ
漫画を描く技術の変化も大きいですか?

パソコンを使って描いている姿などをテレビでよく見ます。
 

中野編集長
デジタル技術を駆使した漫画制作も増えてはきたけれど、まだ全体の3割くらいですね。

週刊連載は原稿の締め切りが厳しいのですが、その締め切り間近でものをいうのは人海戦術なんです

10人近くアシスタントがいて、最後はみんなでバァーっと一気に仕上げるといった職場もありますよ。

そういう点で、デジタル制作だとモニターがたくさんないといけないし、分業がしづらいという面もありますね。
 

ふーぽ
デジタルといえば、今は漫画を読むのもネットやスマホでという人が増えていますね。
 

中野編集長
まさにそうなんです。

通常、漫画家は紙の雑誌で読んだときに一番迫力があって面白くなるように、コマ割りや見せ方を考えて描いているんです。コマを追っていく目の動きや、このコマに何秒間目がとまるかなどを計算して。

だけどこの頃は、スマホで読まれることを想定して、それに合わせてコマを大きくしたり、セリフの位置を工夫している漫画も出てきていますね。
 

ふーぽ
そういえば、漫画作品を発表する場も多様化していますよね。

自分のブログやTwitterなどのSNSで作品を発信している人もよく見かけます。
 

中野編集長
それは、僕らにとっても本当に課題なんです。

才能のある描き手が、もう大手の出版社を選ばなくなっている。

ネット上のある場所で発表して、一定の人数に読んでもらう。それで満足して、趣味程度の制作活動で終わってしまう。ちょっと、それはもったいないと思いますね。

ジャンプでも、「ジャンプルーキー」というネットの漫画投稿・公開サービスを設けて、そういう才能を逃さないような手を打ち始めているところです。
 

ふーぽ
ジャンプとしても、編集部に持ち込みをしたり新人賞に応募する以外に、漫画家としてデビューする道を新しく設けているんですね。
 

中野編集長
そうなんです!

ほかにも、漫画を冒頭の数ページだけ描いたら全体をパーフェクトに完成させなくても応募できる「スタートダッシュマンガ賞とか、世界中から応募してもらうための「ジャンプ世界一マンガ賞などを設けています。

とにかく漫画家を目指す人が、応募しやすいよう間口を広げる対策をしているんです。
 

ふーぽ
時代に合わせて、新しい才能を発掘するための努力も大変なんですね。

そんな中、中野さんが1年とちょっとの期間にわたって編集長を務めてみての感想などはありますか?

特にこの50周年という記念すべき年に。
 

創刊50周年記念号となった2018年7月30日号。連載作品の漫画家が好きな歴代ジャンプキャラクターも描いた。

中野編集長
漫画業界を取り巻く現状はどんどん変化していて、課題は山積みですが、やれる打ち手は次々とやっていきたいですね。

創刊50周年記念では、イベントやコラボなどで例年よりも多忙ではあったけれど、いい経験になりました。

だけど雑誌としては、あまり過去を振り返ってばかりいてもしょうがない。誌面上でも、振り返り企画は控えめにしました。

あんまり50周年にこだわるよりも、未来の読者たちを対象に、51周年に向かったほうが気持ちは盛り上がりますよね。

 

※掲載内容に誤りや修正などがありましたら、こちらからご連絡いただけると幸いです。

※本記事の情報は取材時点のものであり、情報の正確性を保証するものではございません。最新情報はお電話等で直接取材先へご確認ください。

ふーぽ編集部
writer : ふーぽ編集部

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