RENEW2018に参加。伝統工芸「越前箪笥」の工房で修業する若者はもの静かだけど熱かった!

RENEW2018に参加。伝統工芸「越前箪笥」の工房で修業する若者はもの静かだけど熱かった!

こんにちは、ふーぽ編集部ばんのです。

突然ですが、みなさんにクイズ!

福井県越前市には、3つの「伝統的工芸品」があります。
越前和紙
越前打刃物
さて、もうひとつはなんでしょう?

チッチッチッチッチッ・・・(シンキングタイム)


正解は・・・「越前箪笥」!(タイトルでばれてましたね)

越前箪笥は、ケヤキやキリの木地を独自の指物技術で加工し、漆塗りや鉄製の金具で装飾したつくりが特徴。江戸時代後期に確立された技法が今も引き継がれ、2013年に国の「伝統的工芸品」の指定を受けています。

現在は、伝統の技を生かした新たな製品づくりも行われています。

和紙や打刃物に比べると、あまりなじみのない和の箪笥。

その職人の世界に飛び込んだ若者がいると聞きつけ、越前箪笥工房のひとつ「小柳箪笥」(福井県越前市)におじゃましてきました。


 

この方が、越前箪笥匠工房 小柳箪笥で修行をしている若月寛人さん。長野県出身の22歳です。

さっそく、いろいろとお話をお聞ききしましょう。

 

  • ■木の雑貨との出合いから、越前箪笥の世界へ。

ばんの
22歳!長野県から、はるばる福井県へ・・・

ようこそいらっしゃいました!
 

若月さん
こんにちは!

今日はよろしくお願いします!!
 

ばんの
まずは、小柳箪笥に入ったきっかけって何だったんですか?
 

若月さん
もともとは、京都の伝統工芸を学ぶ専門学校で、木工芸を専攻していました。

小栁箪笥を知ったのは2017年、専門学校2年生で、福井を訪れたときのことです。

福井駅前のハピリンで、kicoru(キコル)の、木で作られたスピーカーやコースターなどの製品を見かけて、心をひかれたんです。
 

kicoruは、小栁箪笥が展開する木製のインテリア&雑貨ブランド。越前箪笥の3つの技法「指物」「漆塗り」「金具作り」を生かした製品を作っています。小栁箪笥の工房に、ショールーム兼ショップを併設。

 

ばんの
ハピリンの2階、福井県内各地の伝統工芸品やクラフトがいろいろと売られてますよね。

そのなかでもkicoruの木の雑貨にどんな魅力を感じたんですか?
 

若月さん
当時、木工を学んでいたこともあり、木の特徴を生かしたデザインやつくりが素敵だな~と思って。
 

ばんの
確かに細かいところまでこだわったデザイン、素敵ですよね!
 

若月さん
そうなんですよ!!

そのあとkicoruのことをインターネットなどで調べていたら、小柳箪笥にたどりつきました。そこでkicoruの製品が、越前箪笥という伝統的工芸品の技術から生まれたものなんだと知って、さらに興味をひかれました。

実は、越前箪笥の存在もそのとき初めて知ったんです・・・。
 

ばんの
なるほど・・・。

越前箪笥の第一印象、いかがでしたか?
 

若月さん
重厚なつくり、金具の装飾、ひと目見て、かっこいい!と感じましたね。

200年以上の伝統があるのに、不思議と現代の生活にも調和する佇まいだと思いました。
 

ばんの
まさしく、”ひと目惚れ”というやつですね!
 

若月さん
それから、指物、漆塗り、金具装飾という三つの技術を用いて一貫制作するというのも、他の工芸品ではなかなかない、作り手として魅力を感じるところでしたね。

越前箪笥の工房の中でも、小柳箪笥は、伝統の技を生かしてオーダー家具や雑貨分野に取り組んでいるところにもひかれました。
 

ばんの
なるほど!

でも、長野県から、これまで縁のなかった福井県へ移住するのは勇気が必要だったのでは?
 

若月さん
小栁さんに直接電話をかけて、専門学校を卒業したら修業させてほしいと話してから、何度か見学という形で福井に足を運んだので、移住することに不安はあまりなかったですね。

それよりも越前箪笥の技術を学びたいという思いの方が強かったです。
 

ばんの
ほんとうに惚れ込んでいたんですね。(笑)
 

若月さん
あと、福井県には「伝統工芸職人塾」という制度があって、越前漆器や越前和紙などの、伝統的工芸品に関する技術を習得したい人を、県がサポートしてくれるんですよ。

この制度があることも、福井への移住を後押ししてくれて、2018年の春から小柳箪笥に入りました。

 

 

  • ■小栁箪笥で学びの日々。

ばんの
若月さんは、小柳箪笥で毎日どんな作業をしているんですか? 
 

若月さん
今はkicoruの雑貨を制作したり、越前箪笥の装飾に使う金具を作っています。

木の雑貨作りでは、かんな削りや塗装の基本など、越前箪笥の制作に生かせる技を身に付けられますね。
 

ばんの
でも、学生時代は木工を学んでいたとのことですが、金具作りは別分野ですよね。

苦労していることも多いのでは?
 

若月さん
たしかに難しいですが、今はいろんなことに挑戦できて面白いという気持ちの方が大きいですね。

学生のときから、木工だけでなく金工もやってみたいと思っていたので、その夢が叶って嬉しいです。
 

越前箪笥の装飾に使う金具。輪郭をヤスリがけで斜めに面取り、立体感を生み出す。

 

ばんの
なんでも楽しむ姿勢、すばらしいですね!
 

\ここで、若月さんの師匠・越前箪笥 伝統工芸士小栁範和さん、ご登場/

ばんの
師匠の小栁さんからみて、若月さんの修業ぶりはいかがですか?
 
小栁さん
素直に聞き入れる姿勢ができていて、僕の指導をよく吸収してくれているなぁと感じます。

師匠と弟子という関係ではなく、同じチームの仲間という意識で接していますね。
 

ばんの
師弟ではなく、チームですか!

技術はどのように伝えているのですか?
 

小栁さん
なんでもすぐ教えてしまうのではなく、まずはやらせてみます

そこで失敗したとしても「どうしてうまくいかなかったのか」を自分で考えて、またチャレンジしますよね。

それを繰り返すことで、自分のものとしてのスキルが身に付くと思うんです。
 
若月さん
小柳さんには、技術だけでなく、職人としての考え方や姿勢も学ばせてもらっています!!

幅広い技術とアイデアを生かしてものづくりをしているところに、特に憧れてるんです!

 

 

  • ■職人として目指す姿。

ばんの
これから修業を積んで、どんな職人になっていきたいですか?
 

若月さん
目指すところは2つあります。

1つは、越前箪笥づくりに必要な三つの技術を全て身に付けて、一貫して制作できるようになることです。
 

ばんの
なるほど・・・。

では2つ目は?
 

若月さん
もう1つは、kicoruの雑貨などいろいろな製品を作っていく中で、技術を高めるだけでなく、できることの幅を広げていくことですね。

新しい製品のアイデアもどんどん提案していきたいです!

いずれは、何でもマルチにこなせる小栁さんが目標です!!!
 

小栁さん
職人の世界には“ここまで”という限界はなくて、どこまでも技を磨いていけるものなんですよね。

だから、若月には今の素直さを忘れずに成長していってほしいです。
 

ばんの
先ほどお話にも出ましたが、お二人の間に流れる空気は和やかで、師弟という感じではないですね~。

まさに、一緒にがんばる『チーム』という方がしっくりきます!!
 

小柳さん
そういえば、20歳くらい歳が離れているのに、兄弟に間違われたことがあるんですよ(笑)。
 
ばんの
兄弟に!?(笑)

たしかに、小栁さんは若々しいし、若月さんは22歳とは思えないほど落ち着いていて・・・

分からなくもないかも。ユニフォームもお揃いですしね。
 

若月さん
以前、小さいお子さんを連れたお母さんに、

「ほら、おじさんにも挨拶しなさい!」と言われて・・・。


「まだ22歳なのにお兄さんじゃなくて、おじさんか・・・」と、ちょっぴり傷つきました(笑)。
 

ばんの
すでに職人としての貫禄を醸し出している、ということで・・・。

 

 

  • ■RENEW2018で、ものづくりの世界に触れよう。

ばんの
小柳箪笥さんは、10月19日(金)~21日(日)に開催されるイベント「RENEW(リニュー)2018」に参加されるんですよね!
 

若月さん
そうなんです。

イベント期間中、福井県鯖江市、越前市、越前町の伝統的工芸品などの工房が開放され、普段はなかなか見られないものづくりの世界を覗けるんですよ。

小柳箪笥では、工房見学に加えて、ワークショップも計画中です。
 

ばんの
RENEW」は今年で4回目の開催とのことですが、年々パワーアップしてますよね。

今回は、3市町合わせて110社の工房・企業が参加するって聞きましたよ!
 

小栁さん
期間中、訪れる人たちにはいろんな産地を見て回ってほしいですね。
 

ばんの
工房見学、ワークショップだけでなく、地元の食べものを楽しめたり、トークイベントなどの催しも盛りだくさんだとか。

これは行くしかないですね~!!
 

小栁さん
各工房で伝統の技を知って、興味を持って、その魅力に気付いてもらえるなら、なにより!

そこから若月のように職人を目指したり、産地に関わる人が増えてくれるとさらに嬉しいですね。
 

若月さん
小柳箪笥にも、ぜひ遊びに来てください!
 


インタビュー中、若月さんの素直な姿勢と、小栁さんの気さくな笑顔がとても眩しかったです。
お二人とも、これからもどうぞがんばってください!

RENEW2018では、越前漆器や眼鏡など、さまざまな産地の職人の技や製品に触れることができます。
まだ行ったことがないという方も、ぜひ、足を運んでみてはいかがでしょう。

みなさんにも、若月さんのような運命の出合いが待っているかもしれませんよ。


イベントについての詳しい内容は、公式webサイトをご覧くださいね。

越前箪笥匠工房 小柳箪笥

福井県越前市武生柳町10-7
☎0778-22-1854
http://oyanagi-tansu.jp/
https://kicoru.com/

※掲載内容に誤りや修正などがありましたら、こちらからご連絡いただけると幸いです。

※本記事の情報は取材時点のものであり、情報の正確性を保証するものではございません。最新情報はお電話等で直接取材先へご確認ください。

ばんの
writer : ばんの

メイドインフクイのものづくり、まちあるき、ふらっと行く旅、もふもふした生きものが好き。道ばたで猫に出会えると幸せ。
福井県内と近県をうろうろし、ピン!ときたものごとをご紹介します。

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