「書くことは生きること。『気持ち』に『言葉』で向き合いたい。」中村 理聖さん【ふくい人に聞く】

「書くことは生きること。『気持ち』に『言葉』で向き合いたい。」中村 理聖さん【ふくい人に聞く】


※福井県ゆかりのさまざま人たちにインタビューする連載です。

作家
中村 理聖さん

中村理聖さんは福井市出身で第27回小説すばる新人賞を受賞し、作家デビュー。

現在は京都に暮らし、会社勤務の傍ら執筆をする二足のわらじ生活を送っています。「月刊fu7月号」から、連載エッセーをスタートしました。

 


 

中村さんは兼業作家として京都の法律事務所でOLをしながら小説執筆にいそしむ。

小説すばる新人賞を受賞した「砂漠の青がとける夜」では、東京から京都に移住した女性の心情を、二作目の「若葉の宿」は京都の町家旅館を舞台に主人公・若葉の心の成長を細やかに描いた。

どちらも京都を舞台に、登場人物の気持ちを丁寧にすくい上げる言葉には温もりがあり、静かな感動を呼んでいる。


幼い頃から物を書いたり、絵を描いたり、とにかく「つくる」ことが好きだった。

「私はエネルギーが内に向かうタイプ。気持ちをうまく言葉にできないもどかしさがあり、心を整理するために書き始めました」。


人見知りだけれど人と話すことが好き。思いを言葉にするのが苦手なのに、言葉で表現することにこだわる。
一見すると不器用とも思える作家性も、文章に魅力を与えるエッセンスなのかもしれない。


デビュー作では心の中にたゆたうような、はっきりとしない気持ちを主人公の言葉に託した。

「伝えたいというより、ただ書きたいことを書きました。日々の中でこぼれ落ちている”気持ち”にふさわしい”言葉”を見つけてあげることで、読者に共感してもらえたなら嬉しいですね」。

”言葉と気持ちのギャップ”に言葉で向かい合った「砂漠の青がとける夜」と、季節とともに自分の生きる道や居場所を見つけて成長していく主人公の姿を描いた「若葉の宿」。舞台は同じ京都ながら、趣の異なる二作

 

この作品を書き終えたことで、変化があった。「それまで自分の中にしかなかった書きたいものが、外に向くようになりました」。

作家として波乱万丈なタイプではないという中村さんが多忙な二足のわらじを続けるのは、物語の題材を探すためでもある。

「会社員としての毎日が、いろんな世界や人との出会いを結んでくれています」。

大学生のときにも小説を書いたが作家は目指さず、編集者として京都の出版社に就職。同じ頃、卒論の息抜きに書いていた短編詩がきっかけで、本格的に執筆を再開した。

「街中に自然があって、ゆっくりものを考えられる京都は、住むにも書くにもいい場所。洋服や食べ物など、何でもない毎日を文章にしたためたくなるんです」。

旅行が好きで海外に行くことも多い中村さんは、現地で目に留まった趣のあるノートを購入するという。「ふと思ったことや、作品のネタになりそうなことをいろいろ書き連ねています」

 

尊敬する作家は「野火」など骨太な戦争小説で知られる大岡昇平。「作家としての生き様に憧れます。私も死ぬまで書いていたい」。


今後はファンタジーから恋愛小説、時代もの、ミステリーと幅広いジャンルに意欲を燃やす。ふるさと福井を舞台にした小説もそのひとつ。

「福井については書きたいことがたくさんあります。技術を高め、私にしか書けない言葉で福井を描ければ、と思っています」

中村 理聖(なかむら・りさと)

1986年、福井市生まれ。
高志高校、早稲田大学第一文学部(英文学専修)を卒業後、京都市内の出版社に就職。
高校生のときに小説を書き始め、社会人になり本格的に執筆を開始。
2014年「砂漠の青がとける夜」で第27回小説すばる新人賞を受賞し、翌年デビュー。
2017年に「若葉の宿」を上梓し、現在は3作目を執筆中。京都市在住。

※掲載内容に誤りや修正などがありましたら、こちらからご連絡いただけると幸いです。

※本記事の情報は取材時点のものであり、情報の正確性を保証するものではございません。最新情報はお電話等で直接取材先へご確認ください。

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writer : ふーぽインタビュー

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