知っておきたい和食のマナー!基本の作法やいろは、和食用語を紹介

知っておきたい和食のマナー!基本の作法やいろは、和食用語を紹介

こんにちは、ふーぽ編集部です。

今回は、和食をいただくときに知っておきたい基本作法やマナー、和食用語などを紹介します。

基本を押さえて、食事の時間をより楽しく、豊かにしましょう♪

\教えてくれた人/

山口 ちとせさん
「はし和文化研究会」副会長。
箸メーカー「兵左衛門」にて、はし知育・簡単マナー講師の経験を持つ

はし和文化研究会
福井県越前市市野々町12
☎ 090-2032-3842
ホームページ

思いやりの心も育む正しい箸づかい。

箸だけで食事を完結できるのは和食だけ。だから日本は“お箸の国”と言われているんです」と教えてくれたのは、正しい箸づかいを幅広い世代に伝える「はし和文化研究会」の山口ちとせさん。

箸で目の前の食材を口に運ぶまでに脳は多くのことを瞬時に判断しているそう。

例えば、豆腐を切る時と口へ運ぶ時で微妙に違う力加減は、脳が調整しているのだとか。

「そのため、箸を正しくつかうと思考力、記憶力、注意力が鍛えられます。また、箸をつかう間は常に食材のことを考えているので、人や物への思いやりの心が育まれるともいわれているんですよ」

日本が誇る箸文化を子どもや孫にも伝えて欲しい、と山口さん。

「正しく箸をつかうだけでなく、それを正しく伝えられる大人でありたいですね。ぜひ家庭でお子さんやお孫さんに美しい所作を見せてあげてください」。

次世代の手本となるためにも、まずは大人が見直すところから始めましょう。

 

 

大人こそ見直したい箸作法

 

箸づかいの基本、正しい持ち方。

箸を正しく持つことは和食マナーの基本の「き」。

品良く見えるだけでなく、料理を食べる上で合理的でもあります。

今一度正しい持ち方をチェックしてみて。

 

箸先を揃え、親指から箸先で綺麗な三角形を作ります。

親指はつけ根で下の箸を固定しながら人差し指を支えます。


動かすときは、親指は力を入れずまっすぐ固定したままで、人差し指と中指で上の箸だけを動かします。

 

 

箸の上げ下ろしは“三手”で美しく。

箸を正しく持つことができていても、意外と「取り方」にまでは気を配れていないもの。

箸は「三手で取る」のが基本。

優雅な印象を与えられるよう、普段から意識しておこう。

 

 《取り方》 

右手で上から箸を取り、そっと持ち上げます。


下から軽く添えた左手に、箸を預けます。


右手を箸頭の方へ滑らせ、そのまま下に回して持ち直し、左手を離します。

 

 《置き方》 

箸を置くときは、取るときの逆の手順で。

口に含んだ箸先が箸置きに付かないよう気をつけて。

 

 

箸も器も、扱う時は両手で丁寧に。

椀物などをいただくときは、器、箸の順で取るのがルール。

器を置くときには逆の手順で。

両手で器を取って持ち上げ、左手で持ちます。


右手で箸を取り、椀を持った左手に預けます。

以降は箸の取り方と同じ。


汁物を飲むときは、箸に左手を添えるとより美しく見えます。

 

 

気をつけたい“嫌い箸”5選

昔から忌み嫌われてきた箸づかいのタブー「嫌い箸」

特にやりがちな5つをピックアップ。

  •  指し箸 
    箸で人や物を指すのは失礼にあたります。話に夢中になっている時などは特に気をつけましょう。
  •  涙箸 
    箸先から汁をポタポタと垂らすと美しくありません。汁気を適度に落としてから持ち上げて。
  •  逆さ箸 
    料理を取り分ける際に箸を上下逆さにするのもマナー違反。取り箸をつかいましょう。
  •  刺し箸 
    食べ物に箸を突き刺して食べるのは、「火の通りを疑う」失礼な行為。突き箸とも呼ばれます。
  •  拝み箸 
    両手で箸を挟んで拝むようにすること。箸先が横の人に向いてしまうためNG。

 

和食のマナー“これだけは”

 

相手への心配りで、お互いに気持ちよく。

和食には細かいマナーが存在します。

「全てを身につけるのは難しいですが、マナーは一緒に食事をする人が気持ちよく食べるためのもの。ルールにガチガチに縛られて食事を楽しめないのは本末転倒です」と山口さん。

難しく考えすぎず、これは大丈夫? と迷ったら、相手の立場に立って快か不快かを判断するといいそう。

ある程度のマナーを心得たうえで、形にとらわれ過ぎることなく、相手を思いやって食事を楽しみましょう。

 

おもてなしの心を無にしない。

盛り付けをすぐに崩すのはNG。まずは料理の端から箸をつけて

見た目の美しさ、味のバランス、提供のタイミングなど、料理には作り手の工夫や気遣いが詰まっています。

温かいものは温かいうちに、冷たいものは冷たいうちにいただきましょう。

料理に手をつけないのは失礼にあたるので、どうしても食べられないものは事前に伝えておくのも大切なマナー。

 

“器も料理のうち”を心得て。

作り手は器にも気を配っているので、扱いは丁寧に。

和食では器を持って食べるのが基本。

手に収まるサイズの器は手に持っていただきましょう。

器を取るときは、体の中心より右にあるものは右手で、左にあるものは左手で取り、必ずもう一方の手を添えて。

 手に持っていい器 

・吸い物の椀
・つけ汁の器
・小鉢
・一人前のお重
・茶碗、丼

 手に持ってはダメな器 

・刺身や焼き物の皿
・天ぷらの器
・数人盛りの大皿や大鉢

 

気をつけたい和室でのふるまい。

畳のへりや敷居を踏まない、畳のへりの上に座らない、というのは和室では最低限守りたいこと。

昨今は料亭でも椅子席が増えていますが、座布団の扱いにも注意しましょう。

挨拶や乾杯の際には座布団から降ります。

座布団を踏むのは「もてなしの心を踏みにじる」行為なので気をつけて。

 

 

マナーにまつわる「和食の用語集」

折敷 -おしき-

脚のない薄いお盆のこと。

折敷で出されて箸置きがない場合、食事中は箸先を折敷の左ふちにかけて休め、食べ終えたら折敷の真ん中に置くのがマナー。

 

懐紙 -かいし-

和食の席で使用する厚手の和紙。

口元を隠したり、骨や殻、食べ残しなどを包んだりと様々なシーンで活用できます。

茶道具店や文具・雑貨店で購入でき、懐紙を使いこなせると印象もアップ。

 

膳越し -ぜんごし-

大皿から取った料理を小皿に置かずそのまま口へ運ぶNG行為。

必ず一度小皿に置いてから、改めて箸をつけて。

 

袖越し -そでごし-

右にある器を左手で取り、左にある器を右手で取ること。

服が汚れたり、背の高い器を倒してしまったりするので控えたいです。

 

露切り -つゆぎり-

汁椀の蓋を開ける際、蓋を傾けて内側についた水滴を椀の中に落とすこと。

水滴がこぼれ落ちるのを防ぐことができます。

 

手皿 -てざら-

料理を口へ運ぶ際に手を添える行為で、一見上品に見えるがマナー違反。

持てる器は持ち、添えるなら手ではなく懐紙を。

 

にらみ食い -にらみぐい-

食べながらキョロキョロと視線を移して周りを伺う動作。

落ち着きなく見えるので、目線はなるべく食べている料理に集中して。

 

 

懐石料理 きほんの「き」

日本の伝統的食文化“懐石”と“会席料理”。

「懐石」と聞くと、品数が多く華やかな和食のコース料理をイメージするかもしれませんが、本来は、茶道において茶事の中で提供される“濃茶をおいしくいただくための軽い食事”のことを指します。

現在では正式な「懐石」と区別するため懐石風のコース料理は「懐石料理」酒を楽しむための料理は「会席料理」などと使い分けられることも多いそう。

安土桃山時代に茶の湯の発展とともに確立した「懐石」と、江戸時代に宴会用の料理として生まれた「会席料理」はどちらも日本の伝統的食文化。

それぞれの特徴や基本的な流れを知っておくと食事場をより深く楽しめるはずです。

 

ちなみに、どちらも日本料理を提供する「料亭」と「割烹」の違いはというと、カウンターと個室座敷という形式の違いが分かりやすいです。

これはそれぞれの成り立ちの違いによるもので、歴史を知り、その日の目的に合わせて店を選んでみるのもおすすめです。

また日本料理の味を決める肝となる「出汁」の味がダイレクトに分かる「煮物椀」に注目し、自分好みの贔屓(ひいき)の店を見つけたいですね。

 

 

【懐石】

 目的  空腹を抑え、濃茶をおいしくいただくための料理。

 歴史・由来  禅僧が温めた石を懐に抱いて寒さや空腹をしのいだことにちなみ、「空腹を満たし、体を温める質素な食事」を懐石と呼ぶようになったと言われる。千利休によって形式が整えられた。

 特徴  献立や用いる道具に細かな決まりがあり、流派によっても異なる。大皿の料理を取り回して食べる場面が多い。

 

基本の流れ

① 飯椀・汁椀・向付(むこうづけ)

少量のご飯、味噌汁、向付(魚介類の昆布締めなどが一般的)。

「四つ椀」とも


② 煮物椀

具材と汁をたっぷり盛り込んだ椀もの。

懐石におけるメインにあたります。


③ 焼き物

大皿に盛り付けられた旬の魚介類。

向付の器を取皿にして取り回します。


④ 預け鉢(あづけばち)・強肴(しいざかな)

一汁三菜に加えて、亭主の心入れで出す料理。

炊き合わせや酢の物が一般的。


⑤ 小吸い物

箸洗いとも呼ばれる、口の中を清めるための薄味の少量のお吸い物。


⑥ 八寸(はっすん)

酒の肴として、海のものと山のもを八寸角のへぎ盆に盛ったもの。


⑦ 湯斗(ゆとう)香の物

煎り米を煮て薄い塩味をつけたお湯と漬物。

懐石の最後に出します。


これで懐石は完了。

この後、主菓子、濃茶と続きます。

※一般的な懐石の一例。

 

 

【会席料理】

 目的  酒をおいしくいただくための料理。

 歴史・由来  日本の正式な饗応料理(もてなしの料理)である本膳料理の流れを組みながら、堅苦しい作法を簡略化し、酒宴のための料理として江戸時代後期に発展し、大衆化しました。

 特徴  料理内容や形式に厳密な決まりはなく、献立や盛り付けなどは自由な発想でアレンジされています。配膳は個々の器で出されます。

基本の流れ

 

① 先付(さきづけ)(前菜、突き出しとも呼ばれる)

一汁三菜の前に出される酒の肴。小鉢が一般的


② 吸い物

季節の味と香りを楽しむ、すまし仕立てのお吸い物


③ お造り(向付とも呼ばれる)

赤身や白身の魚、いか、貝類などの刺身


④ 煮物(炊き合わせとも呼ばれる)

旬の野菜や魚の煮物の盛り合わせ


⑤ 焼き物

焼き魚が主流。牛肉や鴨肉の場合もあります


⑥ 揚げ物

旬の野菜や魚の天ぷら、唐揚げなど


⑦ 蒸し物

茶碗蒸しが一般的だが、かぶら蒸しや酒蒸しの場合も


⑧ 酢の物

野菜や貝類、白身魚の酢の物や酢みそあえなど


⑨ お食事

ご飯、止め椀(味噌汁)、香の物(漬物)


⑩ 果物(水菓子とも呼ばれる)

料理の最後に口をさっぱりさせるための季節の果物

※献立名や献立の流れは、一般的な献立例。地域や店によって様々あります。

 

参考:久保香菜子 監修《セレクトBOOKS 大人のテーブルマナー》主婦の友社、小倉朋子 監修《箸づかいに自信がつく本》リヨン社、服部幸應・服部津貴子 監修《和食のすベてがわかる本③懐石料理を知ろうー和食とおもてなしー》ミネルヴァ書房、髙橋英一 《懐石入門》柴田書店

いかがでしたか。

和食も、美しい所作や食べ方で食事の時間がより上質なものになるはず。

ぜひ参考にしてくださいね。

 

 

こちらの記事では和食器を用いたテーブルコーディネートのポイントをご紹介しています。
美しくととのえられた食卓と、今回ご紹介したテーブルマナーで、ぜひ和食を楽しんでください。

和食がより映えるテーブルコーディネートのポイントをご紹介!

※掲載内容に誤りや修正などがありましたら、こちらからご連絡いただけると幸いです。

※本記事の情報は取材時点のものであり、情報の正確性を保証するものではございません。最新情報はお電話等で直接取材先へご確認ください。

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