越前和紙と日本画の可能性を広げたい。「柳瀬良三製紙所」の上西古都さん。（越前市）【こたかな福井びと】

京都府出身の上西古都さんは和紙職人としての技術を持ちながら、日本画家としての芸術的な才能兼ね備えています。
大学卒業後に福井県越前市に移り住み「柳瀬良三製紙所」にて和紙職人として修業中です。

大学時代に日本画を学んでいた上西さん。授業の中で一番最初に触れる紙が“越前和紙”だったことから興味を持ち始めます。

「手漉きで作られている越前和紙は、手触りがよく、絵を描くとき筆の乗りがよかったのが最初の印象です。今まで触ってきた紙とは違い、手作業だからこその風合いやあたたかみ、そして美しさがありますね」と上西さんは話します。

小さい頃から京都の西陣織や焼き物のワークショップに参加するなど、ものづくりが好きだった上西さん。
「越前和紙の手仕事の技を知って以来、伝統工芸の仕事に就きたいと考えるようになりました。でもどう関わりを持てばいいかわからなくて…」

そんな中、上西さんは福井県鯖江市の河和田地区で行われていた、県内外の大学生が集まり河和田の自然や文化をテーマに展示や交流を行う「河和田アートキャンプ」に参加して、より思いを強くしました。

福井県のさまざまな工房を見学していく中で出合ったのが「柳瀬良三製紙所」。

「柳瀬良三製紙所ではイベントでワークショップを開いたり、店で商品を販売しています。イベント以外でも工房見学ができ、活動を幅広く行っているところがとても魅力的でした。大学4年生の頃、ちょうど手漉き職人の募集をしていたので、インターンシップに参加したり、仕事をしている隣で紙漉きの練習をさせてもらったりして、少しでも採用につながるよう励んでいました」

「デジタル化が進む今だからこそ、手作業ならではの質感などを大切にしていくことで、もっと和紙への関心が高まるはずです」と話します。

日本画と越前和紙。上西さんがこれまで培ってきた技術やセンスを最大限に生かし、和紙の可能性を広げる作品や商品が生まれることに、期待が高まります。