伝統的な民族楽器「二胡」と「三線」を弾く、「こばとさんご」の小林寛明さん、啓子さん（福井市）【こたかな福井びと】

福井市に住む小林寛明（こばやしひろあき）さんと妻の啓子（けいこ）さんはそれぞれ「二胡（にこ）」と「三線（さんしん）」の奏者として活動しています。

中国から伝わった弦が2本の楽器が二胡で、沖縄音楽に欠かせない弦が3本の楽器が三線。

お祭りや宴席を彩る伝統的な民族楽器として知られています。

2人は2009年から、「こばとさんご」という名で活動。

ファンからは「小林くん」、「珊瑚ちゃん」の愛称で親しまれ、明るく艶のある二胡の音色と太く柔らかい三線の響き、寛明さんのギターを組み合わせる演奏スタイルで、お客さんを魅了しています。

かつて2人は大阪の民謡酒場で出会い、ともに演奏家を志すもの同士、意気投合。

自然と同じ舞台に立つようになり、それを縁に結婚しました。

その後、寛明さんの地元福井に移り、地域のお祭りや行きつけの酒場で、気楽な会を不定期で開くように。

たわいない夫婦の会話をはさみながら、聞きなじみのある昭和歌謡や民謡を演奏し、お客さんを楽しませています。

「立派なコンサートをするよりは、ちんどん屋さんのように町を練り歩いたり、気のおけない人たちの前で演奏したい。“今日も楽しくここにきましたよ”っていうのを音楽で伝えたいんです」とお客さんとの距離を第一に考える小林さん夫妻。

イベントを重ねるにつれ、お客さんから「二胡や三線を学んでみたい。教えてほしい」など声をかけられることも増えたそう。

「今後は、楽器に興味をもっていただいた方に『自分が弾いて幸せだな』と思えるものを知ってもらいたい」と啓子さんは笑顔で話します。

二人三脚でお互いに支え合いながら、今日も日常に寄り添う音楽を届けているお二人。

「音楽はなくてもいいものかもしれないけど、あると人生は豊かになります。二胡と三線の音を通して、そのことを伝えていきたいです」と声をそろえていました。