良い睡眠には整った身体のリズムが不可欠。
\教えてくれた人/
安倍博さん
福井大学医学部行動科学分野・教授。日本睡眠学会に所属。専門は行動科学、時間生物学
忙しい生活の中でなにかと犠牲になりやすい睡眠時間。
健康的な睡眠には「量」が大切と思われがちですが、深い眠りなどの「質」を確保できていないと、長時間の睡眠をとっていても睡眠不足に陥ってしまいます。
人は眠っているとき約90分ごとに「深い眠り」と「浅い眠り」を繰り返し、徐々に目覚めを迎えます。
「健康的な睡眠の場合、入眠直後に深い睡眠状態になることで睡眠の質を確保できます。そのためには、一日の身体のリズムを規則的に保つことが大切です」と福井大学医学部教授の安倍博さんは話します。
整った身体のリズムが質の良い睡眠につながるのだといいます。
まずは体内時計に従った睡眠のタイミングを知っておきましょう。
人は夜になると深部体温が徐々に低下していき、休息に適した状態になります。
一方でストレスや焦り、緊張などの興奮状態でいると深部体温が下がらず、入眠困難となり眠りのタイミングがずれてしまいます。
身体のリズムを一定に保つためには「朝目覚めたら太陽の光を浴びる」ことや「朝活」などが効果的。
人の体内時計は放置すると日々遅れていってしまいますが朝に強い光を浴びたり、決まった時間に活動したりすることで体内時計が進み、眠気を促進させるメラトニンの分泌が抑制され目覚めがよくなります。
また、メラトニンは夜になると分泌が増加し、眠りやすい状態になります。
慢性的な睡眠不足が続くと「睡眠負債」の状態になってしまい、生活習慣病を引き起こすことも。
「日ごろの睡眠不足を解消しようと休日に『寝だめ』をする人も多いですが、寝過ぎるとかえって体内のリズムが乱れて、心身に影響を及ぼすこともあります」と安倍さん。
正しい身体のリズムに整え、適切なタイミングで睡眠をとることが快眠への一歩になり、生活習慣病予防にもつながります。