【ふくいデザイン探訪Vol.7・スタイル・オブ・ジャパン株式会社】「HASHI(箸)を世界共通用語に」。伝統的工芸品の新たな挑戦。

【ふくいデザイン探訪Vol.7・スタイル・オブ・ジャパン株式会社】「HASHI(箸)を世界共通用語に」。伝統的工芸品の新たな挑戦。

こんにちは、ふーぽ編集部です。

デザインセンターふくい(公益財団法人ふくい産業支援センター デザイン振興部)が展開している「DESIGN CONNECT」事業。

今年11月25日からの約1カ月間、県内企業のデザイン活用事例等を紹介する「デザインコネクト展」を、福井ものづくりキャンパスで開催予定です!


展示会に先立ち、ふーぽ上では「ふくいデザイン探訪」と題して、デザインの観点を取り入れ、企業ブランディングや商品・サービスの開発を行った、県内企業の先進事例を、全10回にわたり紹介していきたいと思います。

 

今回は、デザインを活用した販売戦略・市場開拓に取り組む、スタイル・オブ・ジャパン株式会社をご紹介します。

 


デザインの活用によって成長が期待される製造業・農林水産業・飲食業・サービス業等、様々な企業やクリエーターに向け、デザイン導入事例や先進事例を紹介する「オンライン講座」や「デザイン展」を開催。

新しい時代を切り拓く、人の心を魅きつける商品やサービスはどのようなものか、どのように生み出されるのか、県内外で活躍するクリエーターや県内企業とともに考え、そこからはじまる新たなアクションを応援します。

【⇒過去のデザインコネクト関連記事はこちらから】

◆ 箸産地から、世界を舞台に

小浜市は400年の歴史を持つ日本一の塗り箸産地。祖父の代から続く産地問屋に生まれた大森一生社長が、箸の企画問屋のスタイル・オブ・ジャパン株式会社を立ち上げたのは2005年。

箸づくり産地で商いを続ける中、社長が目を向けたのは、箸の持つ可能性でした。


「生まれ育った地元の若狭塗箸に誇りを持っています。

日本の美しい様式を、世界の人にも知ってもらいたい。

日本文化の象徴である箸は、きっと西洋の食文化やライフスタイルと融合できるはずだと考えました」

 

◆ 輸出向け若狭塗箸「Balance」の開発

2019年、福井県産杉を使った箸とスプーンのセット商品「Balance(バランス)」が独で開催された世界最大の見本市「アンビエンテ」のテーブルウェア用品部門で、デザイナー審査員投票1位を獲得しました。

「Balance」のデザインは独のプロダクトデザイナーのウォルフ・ワグナー氏が手がけたもの。


日本のお箸だけれども、西洋のカトラリーであるという定義でコンセプトを固め、
デザイナーとのやり取りを重ね、約1年半をかけて作り上げました。

 

◆ 箸の新たな価値の創造と、可能性を世界に広げたデザイン

世界最大の見本市アンビエンテで、「Balance」が高く評価されたのは、日本と西洋の文化を融合させたデザインと、トレーサビリティのある森林資源を有効活用した持続可能なものづくりに取り組んでいるという点でした。

箸づくりのバックグラウンドとして、木材輸入の自由化により、箸の木地は99%が外国材を使用

森林国である日本の国産材の自給率が低下しているという現状があります。


「私たちは輸入木材になるべく頼らず、福井県産の杉を使った箸づくりを目指し、持続可能な人と自然環境との共存共栄、地産地消といったコンセプトを掲げたものづくりを行なっています」。

 

◆ アンビエンテへの参加で得たものは

大森社長が抱く夢は、「世界に普及した日本の『MANGA』のように、『HASHI』が日常の中で親しまれる」こと。

 

「アンビエンテに参加したことで、私たちがデザインを通じて表現したいメッセージが、世界に伝わるきっかけになりました。

日本の伝統工芸が西洋のライフスタイルに取り込んでもらえるという手応えを得ました」。

 

出展以来、新聞や雑誌、テレビなどのメディアに取り上げられて知名度がアップし、新しい取引先が増えていきました

▲アンビエンテでの展示のようす

 

◆ デザインを取り入れた経営を目指す

「Balance」の企画開発前に、デザインセンターふくいの産地新ブランド創出・流通サポート事業の支援を受けたという大森社長。

デザインは、人々に夢やビジョンを提案するためにとても重要なもの。

それを形にするデザイナーとの関わり方にも変化がありました。


「セミナーを通じて、経営とブランディングの重要性を学ぶとともに、はじめてデザイナーの視点や考え方、デザインが持つ社会的意義を知ることができました。

時代が変化する中、新しい商品開発、価値の創造をする上で考え方のベースになっています

私たちのビジョンにもとづいてコンセプトをどうやってデザイナーに伝えるか、デザイナーとどう一つのものを作り上げていくのか。

一緒に同じサービスを作る上で、デザイナーとの付き合い方は企業にとってとても大事。パートナーという気持ちです」。



コロナ禍の今、オンライン商談にいち早く取り組んでいる大森社長。


「さらなる海外展開を目指し、ブランド力とイノベーションの向上、ソーシャルグッドな方向へのシフトを進めていきます」。

 

スタイル・オブ・ジャパン株式会社

福井県小浜市木崎32-10-8 TSUJIDOHAUS
☎0770-64-5715

公式ウェブサイトはこちら

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