中野編集長 それは、1968年の創刊のすぐ後のころからの伝統ですね。1959年創刊の少年マガジンと少年サンデーよりもかなり後発だった少年ジャンプは、すでにほかの雑誌に描いているような有名な漫画家たちには描いてもらえなかったんです。しょうがないから、漫画の新人賞を作って、新人を発掘することでどんどん雑誌の人気を伸ばしていきました。その流れを汲んでいて、今でもジャンプでは新人漫画家の新連載に勝る企画はないですね。
中野編集長 それは、本当にうれしいと思いますよ。ベテランになってもその喜びをずっと覚えている漫画家も多いです。だけど、喜びと同時に、本当に大変な日々が始まるんです。まずは1週間で19ページ描くというハイペースに慣れるのが一番しんどいようですね。担当編集もそこに気をつけて、まずはスケジュールを守るところからみっちり鍛えていきます。だけどしんどい日々は、人気が出ても連載が続く限りずっと終わりがないのですから、まさにプロの漫画家の大変なところですね。
中野編集長 最も重要視するのはキャラクターです。いいキャラこそが漫画を面白くする。これは間違いない。キャラにちゃんと人格があって自分の言葉でしゃべっているか、自然なセリフになっているか、という点を特にじっくり吟味しますね。
中野編集長 というより、キャラクターがすべてだと思っています。キャラさえ魅力的なら、どんな舞台設定でも漫画は面白くなるし、ストーリーは自然とできていきます。よく言う「キャラが勝手に動く」というやつですね。ストーリーの作り方は後から鍛えていけるし、担当編集者もアドバイスしたり一緒に考えられる。だけど、本当にイキイキと魅力的なキャラクターというものは、作り出すノウハウがないんですよ。それは、漫画家の中にある熱い想いからしか生まれないと思っています。
中野編集長 でしょ! 「DRAGON BALL(ドラゴンボール)」も「ONE PIECE(ワンピース)」も「SLAM DUNK(スラムダンク)」もみんなそうです。キャラクターが本当に魅力的だからこそ、その漫画は時代を超えて読まれ続けるし、また国境を越えて世界に広がって人気を獲得していくと思っています。