「宇宙を知る。〝生きる〟を知る。」宇宙ライター・林公代③【ふーぽコラム】

「宇宙を知る。〝生きる〟を知る。」宇宙ライター・林公代③【ふーぽコラム】

福井にゆかりがあったりなかったりする、いろいろな書き手がよしなしごとを書き綴る「ふーぽコラム」。

今回は、福井県福井市出身で宇宙関連の書籍を多数出版している「宇宙ライター」・林公代さんの3回目です。

※メーン写真は、ハッブル宇宙望遠鏡がとらえた球状星団(提供:NASA, ESA, and T. Brown and S.Casertano (STScI))

 

宇宙を知る。〝生きる〟を知る。


宇宙飛行士やロケット打ち上げの話をしても、「日常とは関係ないし」と思う方が多いかもしれない。確かにロケット発射が成功するか否かより、毎日のご飯や明日の天気の方が気になるだろう。

しかし、私たちの生活は宇宙技術なしに成り立たないのも事実だ。天気予報には気象衛星が、カーナビには測位衛星が欠かせない。またレトルト食品やバーコードなど宇宙開発の過程で生まれたものが、日常生活で活用されている。


そんな宇宙について知る絶好のチャンスが訪れる。福井に宇宙がやってくるのだ!


2019年6月半ばから福井で宇宙に関する国際会議ISTSが開催される。宇宙関係の学会では世界最大規模であり、国内外の約1000人の研究者らが訪問。福井県は地元主催事業を多数開催する。


私は実行委員を務めているが、「今、福井の学生だったら!」と羨ましくなるものばかり。例えばNASA派遣ツアーや、JAXA訪問ツアー。他にも大人から子供まで宇宙を楽しめる催しが企画されている。


生活に関わる話題もあるだろう。例えば若狭高校はJAXA宇宙日本食にサバ缶を提案し、2018年秋についに認定された。若田光一宇宙飛行士も金井宣茂宇宙飛行士も美味しいと絶賛したそうだ。


そして2020年、福井県は全国の自治体初の福井県民衛星を打ち上げる計画だ。「宇宙を活用してこんなことができる」という全国のモデルケースになって欲しいと期待している。


実は、私自身も取材を続けながら「どうしたら宇宙が多くの人に貢献できるだろう」と問題意識を感じていた。その答の一つを見出したのが、病院にプラネタリウムを届ける宙先案内人の高橋真理子さんの取材だった。


長期入院中の子供たちは遊びに行けず、見舞いにきた家族が帰った後の夜は長い。そんな子供たちに高橋さんは簡易ドームで星空を見せ、優しく語りかける。地球を出発し太陽系を超え、宇宙の果てへ。「広い宇宙のたくさんの銀河の中の点のように見える太陽系に私たちは生きているんですよ」。子供たちは星空に見入りつつ高橋さんの語りに耳を傾けていた。


プラネタリウムを見た後、一度も笑ったことのなかった子が笑ったり、確実に変化していくそうだ。星空を子供たちと仰ぎながら、広い宇宙の片隅で共に生きる奇跡を実感した。


宇宙を知ることは、今私たちが生きていることの偶然と必然を知ることにもつながる。まずは星空を見上げ、その奥に広がる宇宙に思いを馳せてみませんか?

「病院がプラネタリウム」活動風景。2017年度からは星つむぎの村(共同代表、跡部浩一さん、高橋真理子さん)が運営を担っている

ハッブル宇宙望遠鏡がとらえた球状星団(提供:NASA, ESA, and T. Brown and S.Casertano (STScI))

福井県民衛星の実物大模型。2020年、全国の自治体で初となる福井県を主体として打ち上げに挑む

長年の研究が実って2018年秋、若狭高のサバ缶がJAXA宇宙日本食に認定された



林 公代(はやし・きみよ)

1962年福井市生まれ、。サンケイリビング新聞社、 日本宇宙少年団情報誌編集長を経て、フリーライ ター兼編集者に。宇宙分野を主に著書多数。
【⇒公式ホームページはこちら】

※掲載内容に誤りや修正などがありましたら、こちらからご連絡いただけると幸いです。

※本記事の情報は取材時点のものであり、情報の正確性を保証するものではございません。最新情報はお電話等で直接取材先へご確認ください。

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writer : ふーぽ コラム

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