一人暮らしエッセイ

一人暮らしエッセイ

福井県立大学に通う1年生の秋から一人暮らしをスタート。通える距離に実家はあるけれど、あえて一人暮らしを選んだ理由は。そして春からの就職先について、第22回ふくい風花随筆文学賞 最優秀賞を受賞した本人のエッセイでお届けします。

\取材/

文: 島田萌美さん あわら市出身 
 

私の一人暮らしは唐突に始まった。大学に入学して半年ほど経った10月、大学まで30分ととても近いとは言えないアパートに私は引っ越した。中学2年の頃から5年間ほど住んでいたあわら市を離れ、私は幼小中と住んでいた福井市で生活を始めた。


親の反対を押し切っての一人暮らしだった。一人暮らしというと、食事や洗濯、そうじの大変さに加え、金銭的にもとても苦しいものがある。母もそれを心配していた。しかし、私はそれがしたかったのである。自分の力で自分のことをし、大学4年間の間に自立した生活を体験してみたいと思っていた。


実際一人暮らしを始めると、想像の何倍も楽しかった。家に一人なので誰にも気を使う必要がなく、洗濯もご飯も掃除も自分の好きなタイミングで、好きなようにできた。お気に入りの家具やぬいぐるみ、推しのグッズに囲まれ、好きな香りのお香を焚き、とても自由な4年間だった。アパートに友達を招き幾度となくパーティーを開いた。タコパに鍋パ、焼肉パ、映画鑑賞会、舞台鑑賞会、とにかくやりたいことを何も気にせずにできた。

 

もちろん大変なこともたくさんあった。生活費は自分のアルバイト代で賄わなければならなかったため、毎日休まずアルバイトをした。授業の前にアルバイトに行き、授業が終わってもアルバイトをしていた時期もあった。寝不足で授業に行けない日もあり、辛い思いもしたが、生きるだけでお金がかかるという感覚が分かったことは、これから先必ず生きると私は思っている。  


春から私は東京で記者として働く。東京か福井か、高校三年生の私は進学先にとても迷っていたが、東京で働くことを決めた今はあのとき福井を選んでよかったと感じている。県内で一人暮らしをすることによって、家族が近くにいる心強さを感じながら自分の将来のことを一人で考える時間がしっかりとれた。そして地元福井のことをより深く知ることができたからだ。


私は福井が大好きだ。その魅力を私の好きな文章で伝えられる記者という仕事に興味を持った。福井のあたたかい人柄に支えられ、地域の皆さんに育ててもらった私だからできることを東京で模索していきたい。そんな地元への貢献の形もあると私は思う。これから働く上で辛いことは何度もあると思うが、このあたたかい ふくいという街を想いながら、私は進んでいく。(文:島田萌美) 

 

My Room 公開

 

生活を過ごした部屋を覗かせてもらいました。3年半の思い出はずっと心に残ることでしょう

※掲載内容に誤りや修正などがありましたら、こちらからご連絡いただけると幸いです。

※本記事の情報は取材時点のものであり、情報の正確性を保証するものではございません。最新情報はお電話等で直接取材先へご確認ください。

UP編集部
writer : UP編集部

「今の生活をよりよく」を目指し、ひとつのテーマを深掘りした1年保存版のフリーペーパー「UP」を発行しています。

嶺北10市町と連携制作し、各支町の行政施設等にも紙媒体を設置しています。

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