福井県は、タテに長くて、「木ノ芽(きのめ)峠」という峠を境に、北が「嶺北(れいほく)」、南が「嶺南(れいなん)」というエリアに分かれています。
食文化や方言にもけっこう違いがあり、同じ県なんですけど個性があって面白いんですよね。
エッセイではそんな話もお届けできたらと思っています。
初回は、我が町自慢を。
全国に歴史遺産が豊富なまちは数あれど、やっぱり恐竜時代が最古で最強じゃないでしょうか。
ちなみに、嶺南にある「水月湖の年縞」も、7万年前から堆積しているものなので、古いですね。
考古学や地質学などで出土物の年代測定をする「世界標準のものさし」。
今夏、11年ぶり、最後の掘削調査が行われます。
さて、福井県の嶺北にある勝山市は、言わずと知れた「恐竜のまち」です。
今から1億2千万年前、白亜紀前期の地層(手取群・北谷層)からは、恐竜化石が多数発見されていて、「フクイラプトル」や「フクイベナートル」など、「フクイ」と名前のついた新種の恐竜が6種(鳥類を含む7種)発見されています。
尊い。
建築家の故・黒川紀章氏が設計した福井県立恐竜博物館も有名ですよね。
世界中で発掘された恐竜の全身骨格が50体常設展示され、うち10体は実物化石。
なかには世界で最も保存状態の良い恐竜としてギネス世界記録に認定された化石も展示されているそう。

勝山方面に向かって車を走らせていると、山間に突如として出現する銀色の卵。
いつ見てもワクワクします。
好きな車窓の風景をもうひとつ。
米どころ福井ですが、初夏の時期、青田と共に広がる麦畑もエモーショナル。
風に波立つ黄金色の麦穂の絨毯を見ていると、あのフレーズが浮かんできませんか?

写真:Hiroshi Ohnuki
「その者 青き衣をまといて 金色(こんじき)の野に 降り立つべし」
(アニメ映画「風の谷のナウシカ」より)
そして、麦茶や雑穀米として食べられる「六条大麦」は、福井県が生産量日本一です。