発酵デザイナー小倉ヒラクの《ほくりく発酵ツーリズム》-第10回- 一乗谷の歴史を残す麹文化(福井県福井市編)

    発酵デザイナー小倉ヒラクの《ほくりく発酵ツーリズム》-第10回- 一乗谷の歴史を残す麹文化(福井県福井市編)

    ふーぽ読者のみなさん、こんにちは。
    発酵デザイナーの小倉ヒラクです。

    福井新聞社が発行するローカルライフマガジン「月刊fu」で連載中の《ほくりく発酵ツーリズム》を、ふーぽでもお届けしていきます。

    福井県をはじめ、石川・富山を含めた“北陸”の発酵文化を紹介します。

    発酵から北陸の歴史や気候風土を読み解いていきましょう!

     

      発酵デザイナー 小倉ヒラク

      1983年東京都生まれ、山梨県在住。文化人類学と発酵学を独自に融合させた「発酵文化人類学」を展開し、「発酵デザイナー」の肩書で微生物研究や食文化の普及に取り組む。著書『発酵文化人類学』『日本発酵紀行』。金津創作の森美術館(福井県あわら市)で北陸の発酵食文化を紐解く展覧会「Fermentation Tourism Hokuriku ~発酵から辿る北陸、海の道」2022年9月17日(土)~12月4日(日)を開催予定。

      展覧会詳細は金津創作の森美術館HPまで。

       

      福井市内をのんびり散歩していた時のこと。

      街角に風情ある麹屋さんを見かけました。

       

      ごめんください、と覗いてみたら、品のいい老夫婦が出迎えてくれました。

      いつからあるお店なんですか? と聞くと、なんと創業約500年!

      市内を流れる足羽川からほど近くに位置する、国嶋清平商店は、城下町が形成された最初期から福井の街を見守り続けたフレンドリーな麹屋さんなのでした。

      【⇒国嶋清平商店Instagram

       

      街場の麹文化

      「そもそも麹屋さんって何? 」と思う若い読者も多いかもしれませんね。

      麹屋さんは、味噌や甘酒の仕込み用に使う麹をつくるメーカー兼お店のこと

       

      麹は米や麦などの穀物に、コウジカビという日本独自の毒のないカビをつけた、発酵のスターター。

      この麹自体に味はないのですが、大豆と塩を合わせれば味噌に、米を合わせれば甘酒が醸されていく、日本の発酵食の土台を成す大事な食材なのです。

      今でこそ味噌も甘酒もスーパーで手軽に買えますが、昭和の半ばまでは家で作るものでした。

       

      首都圏では三十代の僕の祖父母の世代、地方では父母の世代は麹屋さんで麹を買って、自分で発酵食品を仕込むのが当たり前だったのです。

      戦前まではそれこそどの地域にも街ごとに1軒は麹屋さんがありました。

      実は今でも全国でおそらく千数百軒は残っているのではないでしょうか(正確な数はなかなか把握できないのですが)

      国嶋さんは、そんな古き良き伝統を継承しているのですね。
       

      国嶋清平商店の国嶋さんご夫婦


      麹屋さんが残っている、ということはその土地に麹を使いこなせる発酵上手の人たちがいるということです。

       

      僕が国嶋さんの軒先でおしゃべりしている間にも、地元のお父さんお母さんが訪れて麹を1キロ、2キロと買っていました。

      味噌や甘酒はもちろん、野菜の麹漬け「三五八(さごはち)ニシンやサバのおすしをつくるのに使うんですね。

       

      国嶋さんの麹は、「麹蓋(こうじぶた)」という底の浅い木箱で小分けにしてコウジカビを育てる江戸時代からの手間のかかる製法

      僕も一袋買って帰ったのですが、とても上品な甘酒に仕上がる、ご夫婦の人柄そのものの丁寧さを感じられるクオリティでした。

      尊い・・・!

       

      お洒落なベンチャー麹屋

      福井市内にはもう1軒麹屋さんがあります。

      同じく足羽川にかかる九十九橋のたもとにある三七味噌、ここは国嶋さんと対照的な「ベンチャー麹屋」なのです。

      【⇒三七味噌Instagram

      鹿児島から移住してきた店主の片山さんが、小さなビルを住居兼工場兼お店に改装して2017年に開業したピカピカの新米麹屋さん。

      センスの良いパッケージの麹やお味噌、甘酒を使ったスイーツなどを販売しています。

      三七味噌の片山さんとパートナーの高木さん


      店名にある「三七」は、味噌仕込み用の麹に適したコウジカビの育成温度が37℃であることにちなんだもの。

      そのセンスも洒落ているではありませんか・・・!

      ちなみに三七味噌さんの麹は、うま味が際立つ、味噌仕込みにぴったりの味のバランスです。

       

      昭和後期から廃れる一方だと思われていた麹屋の文化、実は近年の発酵カルチャーの盛り上がりによって新規開業する若い人たちも現れています。

      昔からの発酵上手は国嶋さん、新世代の発酵ラバーは三七味噌さんと福井市は新旧の歴史を持つ麹屋さんがある「麹上手」の街なのです。

       

      歩いて10分ほどで両方を行き来できるので、2種類の麹を買って甘酒を作って味を比べてみるのも面白いかも。

      同じ麹でもこんなに個性が出るんだ! と実感できるはず。

      たかが麹・・・と思うなかれ、そこには何百年も培われた日本の奥深い発酵カルチャーの真髄が詰まっているのです。



      いかがでしたか。

      北陸の発酵文化を訪ねる《ほくりく発酵ツーリズム》

      次回もお楽しみに!

      【連載】ほくりく発酵ツーリズム
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