異国からの玄関口「越前・若狭」に残る、文化や伝統に触れてみよう【ふくい平安めぐり】

異国からの玄関口「越前・若狭」に残る、文化や伝統に触れてみよう【ふくい平安めぐり】

こんにちは、ふーぽ編集部です。

2024年の大河ドラマ「光る君へ」。いよいよ5月からの「越前編」の放送が近づいてきました!

越前・若狭は古くから大陸からの玄関口として開かれ、特に敦賀、小浜・若狭は大陸との交流拠点として栄えた場所であり、様々な文化が交錯してきた歴史があります。

今回は今も残る、ふくいに受け継がれてきたゆかりの地や文化・伝統をご紹介します。

異国からの玄関口 越前・若狭

古代より越前・若狭は、異国からのひと・もの・文化の玄関口として開かれた地でした。

紫式部が父・藤原為時の越前守任命に伴い越前国を訪れる前年の995(長徳元)年9月上旬、朱仁聡(しゅじんそう)ら70人余りの「宋人」が若狭国に到着しました。

宮中では右大臣・藤原道長らがその対応を話し合い、彼らは越前国に移されることとなりました。

朱仁総らは越前国に滞在し、その翌年赴任してきた藤原為時と、漢詩のやりとりをしたことが記録されています。

異国の客人をもてなした松原客館

日本海を仰ぎ、古くから大陸との窓口としての役割を果たしてきた港町敦賀

平安時代、この地には「松原客館(まつばらきゃっかん)がおかれ、大陸からの使節をもてなしたと伝わっています。

また、客館の管理を担っていた気比神宮や、宋人・朱人聡が絵画を寄進したと伝わる西福寺など、異国の人がこの地にいた名残が今も残っています。

1. 氣比神宮

「延喜式」によると、氣比神宮は松原客館の管理、監督を任されていました。

松原客館などでは、大陸からの使者をもてなす際に漢詩の贈答が行われており、学者である藤原為時が越前守に任じられた理由といわれています。

氣比神宮

福井県敦賀市曙町11-68
☎️0770-22-0794

2. 気比の松原

古くは氣比神宮の神苑でした。

松原客館が置かれていた場所はわかっていませんが、この近くに置かれていたという説もあります。

面積約34万平方メートルと広大で、静岡県の「三保松原」、佐賀県の「虹の松原」と共に日本三代松原に数えられています。

気比の松原

福井県敦賀市松原町

3. 西福寺

14世紀に開山された浄土宗きっての名刹。

国名勝指定の書院庭園は、極楽浄土を表現したと言われ、四季折々に美しい表情を見せます。

所蔵する絵画「絹本著色 主夜神像」(国重要文化財)は、裏面に宋人 朱人聡が寄進したと記されています。

西福寺

福井県敦賀市原13-7
☎️0770-22-3926

4. 深坂峠

近江国塩津と越前国敦賀を結ぶ古道は「深坂越え」と呼ばれる難所でしたが、往来が絶えないほどににぎわっていました。

紫式部も父・藤原為時とともに、この道を通って越前に下りました。

峠を越える際に式部が詠んだ歌の歌碑が置かれています。

深坂峠

福井県敦賀市追分

都の文化が今に伝わる御食国(みけつくに)若狭

古代から、豊かな海に育まれた塩や海産物などを都に運んだ若狭は、いわゆる御食国として知られています。

また若狭は、大陸と都からの人や物資、文化が往来し交わる地であったことから、都の祭礼や芸能、仏教文化が地域一体に広く伝播し、独自の発展を遂げながら大切に守られてきており、数多くの文化遺産や伝統行事が今に伝えられています。

木簡からみた御食国(みけつくに)・若狭

《若狭國遠敷郡木津郷御贄貽貝鮓一塙》平城京跡出土木簡〔複製〕(若狭歴史博物館写真提供、原品:奈良文化財研究所蔵)

古代の都から出土した木簡のなかには、若狭から納められた海産物や塩が記されています。

特に「御贄(みにえ)」と記されている木簡は、当時の御食国(天皇の食事を貢ぐ国)としての姿をうかがい知ることが出来ます。

5. 中山寺

807(大同2)年、泰澄大師が創建したと伝わり、若狭湾を見下ろす青葉山の中腹にたたずむ古刹。

本尊の秘仏馬頭観音菩薩(国重要文化財)は鎌倉時代中期の作で作者は正統の南都系仏師と考えられています。

海上保全の守り本尊として人々の篤い信仰を集めてきました。

中山寺

福井県大飯郡高浜町中山27-2
☎️0770-72-0753

6. 長楽寺

阿弥陀如来坐像

大島半島先端近く、静かな漁村にたたずむ長楽寺は、用明天皇の時代(585〜587年)の創建とされる古寺。

本尊阿弥陀如来坐像(国重要文化財)は平安時代後期の作で、いまなお金色に燦爛と輝きます。

その姿は、平等院(京都府宇治市)の本尊国宝阿弥陀如来坐像とよく似た作風とも言われています。

長楽寺

福井県大飯郡おおい町大島60
☎️0770-77-2820(おおい町郷土資料館)

7. 羽賀寺

木造十一面観音菩薩立像

716(霊亀2)年に元正天皇の勅願により行基が創建したと伝わり、鳳凰が飛来して羽を落としていったという伝説から「鳳聚山(ほうしゅうざん)」と名付けられました。

本尊十一面観音立像(国重要文化財)は元正天皇の御影とされます。

平安時代前期の作とされるが長い間秘仏であったことから当時の彩色が鮮やかに残っています。

羽賀寺

福井県小浜市羽賀83-5
☎️0770-52-4502

8. 多田寺

木造薬師如来立像

若狭の霊峰・多田ヶ岳の玄関口に建つ多田寺は奈良時代、孝謙天皇の勅願による創建と伝わります。

本尊薬師如来立像(国重要文化財)は平安時代初期の作とされ、衣文には京都神護寺の薬師如来立像(国宝)に似た意匠が見られます。

本尊とともに安置されている日光菩薩、月光菩薩も奈良時代の様式を伝える古像。

多田寺

福井県小浜市多田29-6
☎️0770-56-0894

9. 若狭彦神社・若狭姫神社

若狭姫神社

若狭は古くから、朝廷に天皇の御料理である「御贄(みにえ)」を納めた国を指す「御食国」として都の食文化を支えてきました。

創建を古代に遡る社寺も多数あり、中でも715(霊亀元)年創建の「若狭彦神社」は、721(養老5)年創建の「若狭姫神社」と共に若狭一の宮と称され、海上安全や海幸大漁の守護神として信仰されています。

若狭彦神社/若狭姫神社

福井県小浜市竜前28-7(若狭彦神社)
福井県小浜市遠敷65-41(若狭姫神社)
☎️0770-56-1116

10. 明通寺

806(大同元)年桓武天皇の時代、征夷大将軍・坂上田村麻呂が蝦夷征伐に際して創建したと伝わります。

本堂・三重塔は国宝。

本堂には本尊薬師如来、その左右には深沙大将、降三世明王(いずれも国重要文化財、平安時代後期の作)が安置され、独特の雰囲気と威厳を漂わせています。

明通寺

福井県小浜市門前5-21
☎️0770-57-1355

11. 御食国若狭おばま食文化館

日本の伝統食、若狭伝統行事と食、ユネスコ無形文化遺産「和食」、日本遺産「御食国若狭と鯖街道」など、食にまつわる歴史・文化や伝承料理を多くの再現料理レプリカとともに紹介しています。

郷土料理を作り味わうキッチンスタジオや工芸体験ができる若狭工房もあり、若狭小浜の食の魅力を満喫できます。

御食国若狭おばま食文化館

福井県小浜市川崎3丁目4
☎️0770-53-1000

12. 福井県立若狭歴史博物館

若狭地方の仏像やまつり、芸能などの文化遺産とそれらを育んだ若狭歴史を、豊富な資料で分かりやすく紹介しています。

若狭のみほとけのコーナーでは若狭地方に伝来した仏像を展示しており、普段見ることのできない近さや角度からほとけさまを眺めることができます。

福井県立若狭歴史博物館

福井県小浜市遠敷2-104
☎️0770-56-0525

福井の“おいしい”と“職人技”をご紹介

福井県は「越山若水(えつざんじゃくすい)」と称される豊かな自然に恵まれ、海の幸、山の幸が豊富な食の国。

古くから都の食を支えた御食国として知られる若狭や、東大寺の荘園もおかれた米どころ越前など、歴史的にも重要な役割を果たしてきました。

また、1500年の歴史を持つ越前和紙をはじめとする数多くの伝統的工芸品が、受け継がれた技を今に伝えています。

福井の“食”と“技”を一緒に味わい、暮らしに彩りを加えてみませんか。

①越前がに ②若狭ふぐ ③越前焼き ④越前うに ⑤越前和紙 ⑥出汁(だし)昆布 ⑦越前漆器 ⑧若狭塗 ⑨若狭めのう細工 ⑩吉川なす ⑪越前焼 ⑫いちほまれ、コシヒカリ ⑬福井梅 ⑭越前焼き ⑮若狭ぐじ ⑯越前指物(越前箪笥) ⑰ふくいサーモン ⑱越前打刃物 ⑲若狭かき ⑳東浦みかん ㉑うちまめ ㉒越前水仙 ㉓福井の地酒

 

敦賀の塩は 古代のブランド塩?

天皇との争いに敗れた平群真鳥(へぐりのまとり)は死ぬ前に全国の塩に呪いをかけましたが、角鹿(敦賀)の塩だけ呪い忘れてしまいました。

そのため角鹿の塩だけが唯一、天皇の食に使われたという伝説が日本書記に記されています。

 

現代に受け継がれる若狭の祭礼・神事

豊かな自然や食に恵まれ、大陸や都との交流が盛んであった若狭には、暮らしと共に受け継がれてきた祭礼 など様々な文化が今も息づいています。

若狭の王の舞群/若狭町 他

若狭地方を中心に数々の神社で奉納されている、豊作・豊漁・平安を祈り春の訪れを知らせる伝統の風物詩。

王の舞は、中世に都の大寺社で奉納されていた芸能で、荘園がおかれた若狭に田楽や獅子舞などとともに伝わり、今なお伝え残されています。

お水送り/小浜市神宮寺

若狭と奈良のつながりの深さを物語る行事。

毎年3月2日、若狭神宮寺住職により「御香水」が鵜の瀬の淵に注がれます。

この水が10日間かけて奈良東大寺二月堂の「若狭井」に届くと伝えられ、奈良時代から続く東大寺「お水取り」では、若狭井から汲み上げられた水が二月堂御本尊にお供えされます。

放生祭(ほうぜまつり)/小浜市

毎年9月第3土・日に繰り広げられる若狭地方最大の秋祭りであり、山車の囃子(はやし)には、雅楽などに使われる龍笛(りゅうてき)と同じサイズの笛が用いられており、この祭の囃子の歴史の古さを感じさせます。

 


いかがでしたか? 

上記のスポットをまとめたパンフレットも福井県内各地で配布中です。

ダウンロードはこちらから

 

\紫式部ゆかりのスポット情報はこちら/

福井県内にある紫式部・安倍晴明ゆかりの地を巡ろう【ふくい平安めぐり】

【発行元】
福井県交流文化部魅力創造課

福井県福井市大手3丁目17-1
☎️0776-20-0762
【FAX】0776-20-0513
HPはこちらから

※掲載内容に誤りや修正などがありましたら、こちらからご連絡いただけると幸いです。

※本記事の情報は取材時点のものであり、情報の正確性を保証するものではございません。最新情報はお電話等で直接取材先へご確認ください。

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writer : ふーぽ編集部

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