【ふくいデザイン探訪Vol.3・志野製塩所】“えん”を大切に、越前海岸の魅力を発信。

【ふくいデザイン探訪Vol.3・志野製塩所】“えん”を大切に、越前海岸の魅力を発信。

こんにちは、ふーぽ編集部です。

デザインセンターふくい(公益財団法人ふくい産業支援センター デザイン振興部)が展開している「DESIGN CONNECT」事業。

今年11月25日からの約1カ月間、県内企業のデザイン活用事例等を紹介する「デザインコネクト展」を、福井ものづくりキャンパスで開催予定です!

展示会に先立ち、ふーぽでは「ふくいデザイン探訪」と題して、デザインの観点を取り入れ、企業ブランディングや商品・サービスの開発を行った、県内企業の先進事例を、全10回にわたり紹介していきたいと思います。

今回は、越前海岸で農業や塩づくりを生業とし、デザインを活用しながら地域の魅力発信に取り組む志野製塩所の志野佑介さんをご紹介します。


デザインの活用によって成長が期待される製造業・農林水産業・飲食業・サービス業等、様々な企業やクリエーターに向け、デザイン導入事例や先進事例を紹介する「オンライン講座」や「デザイン展」を開催。

新しい時代を切り拓く、人の心を魅きつける商品やサービスはどのようなものか、どのように生み出されるのか、県内外で活躍するクリエーターや県内企業とともに考え、そこからはじまる新たなアクションを応援します。

【⇒過去のデザインコネクト関連記事はこちらから】

◆ 景色と環境に魅了され、越前海岸へ

雄島、亀島、鉾島の3つの島が見渡せる海岸線沿いの絶景の立地に、2020年5月にオープンした志野製塩所。千葉県から福井市南菅生町に移住した志野佑介さんが営んでいます。

「東京農業大学を出て、千葉で12年間農業をした後、縁あって知り合いが営む坂井市の農場で働きはじめました。

越前海岸には仕事の合間の息抜きによくドライブにきていて、いい場所だなあといつも感じていました」。


次は海と山が近い環境で活動したいと移住を決め、山や田畑、築120年の古民家を購入した志野さん。


「農業だけで食べていくには、物流や立地の面で自信がなかったので、もう一つ何か生業をしたい。

そこで思い浮かんだのが、越前海岸のきれいな海水で塩を作ることでした」。

 

 

◆ 越前海岸の恵みを生かした生業

海沿いの廃工場を自らの手で改修し、海水を煮るかまども手作り。入り江からポンプで海水をくみあげ、途中で灰汁などを取り除きながら、3日間ほどかけて炊いていきます。

かまどの火をおこす燃料には、廃材や山の間伐材を活用。手間暇をかけ昔ながらの手法で作られる「越前海岸 百笑(しゃくしょう)の塩」は、甘みと旨みを感じる優しい味わいです。

 

「結構評判が良くて、千葉に住む塩づくりを教えてくれた師匠からも『美味しい』の言葉をいただきました

作り方自体は同じなのですが、技術は未熟なのでここの環境、海水のおかげだと思っています」。

 

塩の結晶をイメージし、四角が連なったピラビットを家紋風にデザインした看板。志野さんの知人の、県外に住むイラストレーターに制作を依頼した

 

志野さんは塩づくりの他、山の中腹の農地でニワトリやヤギを育て、田んぼで米を栽培し、時には海に潜ってワカメやサザエ、アワビを採るなど、地域の資源を生かして様々なことにチャレンジしています。

 

「昨年春には林業の勉強もしました。山を手入れすることで海の水も美しく保てる。そんな良い循環を目標にしています。

僕は塩職人ではなくて、あくまでもひとつの生業として塩をつくり、ここ越前海岸で百姓として生きていきたいと考えているんです。

まだ100の仕事ができるほどではないですが、いつでも笑っていることはできるので、『百笑』と名乗っています」。

 

 

◆ 塩を通じたさまざまなコラボレーション

今年9月には製塩所の隣に土日のみ営業のショップスペースがオープンし、定期的にイベントも行われています。

(左上)しの屋では、塩だけでなく地域の人たちが手作りしたアイテムなどが販売されている (右上)しの屋2Fのまったりスペース (左下)過去のイベントに登場した、越前海岸 百笑の塩と地元の名水で味わう「海水そば」の店 (右下)おにぎりを握る志野さん

塩を使ったアイスやおむすび、おそばなど、色んな人とコラボレーションしています

塩はさまざまなかたちで生かせるので、梅を育てて梅干しにしたり、ウニを採ってきて塩ウニにしたり。地元の醤油屋さんに、僕の塩で醤油を作ってもらう計画もあります」。

塩と人、ものごとを組み合わせて新たな価値を生む「&SALT(アンドソルト)プロジェクト」。その一つが、県内デザイナーとの取り組みです。

 

◆ 人の縁を繋ぐパッケージデザイン

アイデアを実現してくためのサポートをデザインセンターふくいから受けながら作り上げられたパッケージデザインがこちらです。

「もともとGOOD MORNINGの三田村敦さんと知り合いで、『デザインアンドソルト』というかたちでデザインの力を使って色んな人に塩を届けたいなと思っていたんです」。

六感デザインの野路靖人さん版画家のおさのなおこさんとも縁が繋がり、ショートストーリーをもじった『塩とストーリー』というパッケージデザインの発想が生まれました。


「3人のデザイナーさんそれぞれに、A4サイズの用紙1枚の中に物語を感じるデザインを表現してもらい、塩を包んで、切手を貼ればそのままポストに投函できるかたちに仕上げました

包みを開くと塩にまつわるストーリーが広がる仕組みです。帯の部分の裏にはメッセージを書くスペースを作っていて、塩を贈ることで人と人が繋がる手助けができたらと思っています。

来年以降はデザインを増やして、百姓だけに100種類を目標に、県内外の色んなデザイナーさんと繋がっていきたいです」。

 

◆ 越前海岸の魅力を伝え、移住者を増やしたい

志野製塩所が大事にしている、6つの「えん」。

 おいしい塩づくり
 暖かくて優しい薪火
 一期一会 人との出会い
 楽しいこと、人が集まってくる場
 山と海、モノとコトの循環
ちぜんかいが

「このあたりは景色の良い場所がたくさんあるんです。特に、山の中腹から見下ろす景色には感動します。

ショップでテイクアウトしたものも景色の良い場所で食べてもらいたいので、絶景ポイントを記したマップを作りたいと考えています。そうして訪れた人たちにこの地域の魅力を伝えていきたいです」。


越前海岸への移住にも、製塩所の立ち上げにも、色々な人のアドバイスや助けがあったと話す志野さん。


「これからも、人との縁を大切に生きていきたい。目指しているのは、越前海岸での豊かな暮らしを体験してもらい、ここに定住する人を増やすこと。仲間と力を合わせて、その拠点をつくっていきたいと思います」。

 

越前海岸 志野製塩所

福井県福井市鮎川町133-1-1
☎070-3630-1920

公式Instagramはこちら

※掲載内容に誤りや修正などがありましたら、こちらからご連絡いただけると幸いです。

※本記事の情報は取材時点のものであり、情報の正確性を保証するものではございません。最新情報はお電話等で直接取材先へご確認ください。

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