【ふーぽコラム 1人目】旅の文筆家・蜂谷あす美③

【ふーぽコラム 1人目】旅の文筆家・蜂谷あす美③

福井にゆかりがあったりなかったりする、いろいろな書き手がよしなしごとを書き綴る「ふーぽコラム」。

今回は、旅の文筆家・蜂谷あす美さんの3回目です。


 

取材時のメンバーについて。


「新幹線で隣に座ってくる人が、その人ですよ」

紀行文取材に向けて、某誌編集長と打ち合わせをしていたときに発せられた一言だ。


一口に「紀行文」といってもさまざまで、「文体はどんな感じにするか」とか、「どれくらい自分の味を出すか」とか、掲載誌によって求められるものは違ってくる。しかし、この「さまざま」は、書き手である自分がどうにかすればいいことなので、「がんばろう、私」で終わる。

裏話的な「さまざま」としては、「取材のメンバー」というのがあり、これは大きく分けて3つのタイプがある。

リーズナブルなのは「一人で行ってこい」の野放しタイプ。ライター兼カメラマンの一人芝居である。

一方で、手厚く過保護なのは「編集者、カメラマン同行」タイプ。この場合、編集者がカメラマンに指示出しをしている横で、所在なくたたずむくらいしかすることがなくなり、「編集者が原稿書いたらいいんでないか? 私、いらんのでは?」と不安になる。

そして3つ目が「カメラマンと2人で行ってきてください。それでは原稿お待ちしてます」タイプだ。


冒頭の一言は、まさに3つ目、しかもそれを初めて経験したときの思い出である。

まったく面識のないカメラマンと2人で取材に行けと言われ、「どんな方ですか?」と尋ねたところ、返事がこれだった。「どんな人かもわからんのに、どうするんやって……!」。結局は、新幹線に乗るより先に、プロ仕様のカメラを首から下げている人をホームで目撃して、そこで落ち合ってしまったし、何より気さくでいい方だった。

なお、カメラマンと駅のホームで「初めまして、これから2日間よろしくお願いします!」と名刺交換をすることは、よくある。


旅関連の誌面というのは、かようにして写真を撮る人と文章を書く人が別々であるのに、できあがりを見ると、一体感があるどころかいい具合に相乗効果をなしているので不思議だ。

もっと不思議なのは、取材中は同行者としゃべりながら列車に乗っていたのに、出来上がりの文章では「一人旅」の体をなしていること。紀行文はノンフィクションに属しているはずなのに。

あまり多くを語ると各所からお叱りを受けそうなので、この辺でやめておく。

SLばんえつ物語は新津ー会津若松を走る人気の観光列車

旧信越本線は、有名な廃線跡。かつてはこの橋の上を機関車が走っていた

取材中。手持無沙汰につき、カメラマンと編集者の写真を撮って遊ぶライター@旧信越本線

磐越西線を走るSLばんえつ物語で仕事中のカメラマンを撮影するライター

   



蜂谷あす美

1988年福井市出身。2015年JR全線完乗。「鉄道ジャーナル」連載ほか、旅と鉄道と牛乳を中心に活躍中。

※掲載内容に誤りや修正などがありましたら、こちらからご連絡いただけると幸いです。

※本記事の情報は取材時点のものであり、情報の正確性を保証するものではございません。最新情報はお電話等で直接取材先へご確認ください。

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ふーぽ コラム
writer : ふーぽ コラム

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