「誇りたい福井の水の力」/ 鉄道写真家・エッセイスト 南 正時①【ふーぽコラム】

「誇りたい福井の水の力」/ 鉄道写真家・エッセイスト 南 正時①【ふーぽコラム】

福井にゆかりがあったりなかったりする、いろいろな書き手がよしなしごとを書き綴る「ふーぽコラム」。

今回は、福井県旧武生市出身の鉄道写真家・エッセイスト 南 正時さんの1回目です。

誇りたい福井の水の力。

 昨年から「北陸新幹線福井開業」のプレイベントとして福井県の鉄道の活性化のお手伝いをさせて頂き、写真展などさまざまなイベントに立ち会った。


 きっかけは一昨年、勝山の酒造メーカーのテレビCMに出演させて頂いたのがご縁である。私はライフワークとして名水、湧水の旅を鉄道の旅と共に続けている。


 福井県は豊富な美味しい水を育み、全国屈指の酒造りが盛んな地で湧水も豊富であり環境庁の名水百選が昭和、平成合わせて6箇所も存在する日本有数の名水の地でもある。
 良質な水が美味しい酒を生み「名水あるところ名酒あり」が私の湧水巡りの座右の銘である。


 越前市の味真野地区の扇状地にも昔から湧水が数多くあり、小学生の頃の遠足で訪れた湧水池の砂を舞い上げて湧き出る水の力の鮮烈な記憶が、私の旅のきっかけともなっている。
 この湧水群は昔から製紙産業に寄与し、かつて福井鉄道南越線が現役のころは、同市五分市町の製紙工場から電気機関車にひかれた製紙輸送の貨物列車が武生まで運転されていたことも記憶に鮮やかだ。


 名水あり名酒あり、名水の恩恵を受けた越前和紙ありと水に恵まれた本県だが、前置きが長くなった。


 GWの5月1日から5月12日にかけて、私の故郷の越前市で写真展を開催した。その際に、越前和紙のメーカーと、ペーパーを印刷するキヤノン(東京)の協力を得て「平成の鉄道写真」の展示作品をすべて越前和紙で出力することになった。


 開催前にテスト印刷を試みたところ、感材メーカーの担当者が「おそるべし越前和紙の力」と絶賛したほどの良い仕上がりになった。
 私も予想以上の出来に実に満足し、その夜に東京・神楽坂の越前郷土料理店で呑んだ「一本義」もまた格別であった。


 写真展の目玉は福井県ゆかりの鉄道写真を特大プリントで展示するというものだった。
 その後、本番の印刷が越前市の担当者、感材メーカー立ち会いのもとに行われたが、手前味噌ながら素晴らしい仕上がりになり、担当者も機嫌よく武生へ戻っていった。


 私もうれしい気分でまたまた一本義を空けた次第。いやぁ、福井の水、酒、そして水の力である越前和紙の力にあらためて感激した一日だった。



南 正時(みなみ・まさとき)

1946年、旧武生市生まれ。7 0~8 0 年代に「鉄道大百科」がヒット。
世界中の鉄道を取材し、雑誌やテレビなどで活躍中。

※掲載内容に誤りや修正などがありましたら、こちらからご連絡いただけると幸いです。

※本記事の情報は取材時点のものであり、情報の正確性を保証するものではございません。最新情報はお電話等で直接取材先へご確認ください。

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writer : ふーぽ コラム

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