「リアルを笑いに変えて。ライブでストレートに伝えたい」ウーマンラッシュアワー・村本大輔さん【ふくい人に聞く】

「リアルを笑いに変えて。ライブでストレートに伝えたい」ウーマンラッシュアワー・村本大輔さん【ふくい人に聞く】

お笑い芸人
ウーマンラッシュアワー 村本 大輔さん

重めの前髪に、鋭い目つき、ニヒルな表情がトレードマーク。

型にはまらない、ちょっと過激なお笑いスタイルが人気の芸人・村本大輔さんは福井県おおい町出身。

心優しきダークヒーローに、コアなファンが急増中です。



時にはワインを片手に、終始立ちっぱなしで観客に向かって話し続ける。欧米では「スタンドアップ・コメディ」と呼ばれるショーの形式でマシンガントークを繰り広げるのが、村本大輔さんの「独演会」のスタイルだ。

政治や宗教、下ネタなど、「漫談」ではタブーとされるジャンルのネタも恐れず扱い、皮肉たっぷりのユーモアで世相と世論を切っていく。軽快な語り口や話の切り返しの速さ、シャープな視点に、ぐいぐいと引き込まれてしまう。

福井県内でもたびたび開催される村本さんの「独演会」は、その場でしか味わえない、まさにライブならではの盛り上がりを見せる。

「欧米のコメディはネタが知的です。社会の本質を見つめ、マイノリティの考え方でも堂々と発言する。言論の自由が日本以上にあるように思えるんです」と村本さん。

2018年6月、福井市「田原町 ミューズ」での独演会は暴風雨にも かかわらず県内外からのファンで満員に。予定時間をオーバーして続いた白熱トークに、会場は笑いの渦に包まれた


2017年の夏、初めてアメリカのロサンゼルスへ語学留学し、現地でスタンドアップコメディに出合って衝撃を受けたという。

「当時僕はテレビにばかりに出ていて、舞台に立つライブ感覚が薄れていました。『芸人がお客さん相手にネタをやらなくてどうする』ともやもやしていた矢先でした」

すぐさまスタンドアップコメディを学ぼうと決めた村本さんは、帰国後に英語を猛勉強し、2018年の春には早くも米国のコメディーハウスの舞台に立った。その経験をもとに現在、全国で独演会を開いている。

故郷である福井県おおい町のPR大使を務め、地元ネタを扱うことも多い村本さんだが、ずばり「福井でのライブは一番やりにくい」と話す。

「お客さんの反応がすごく薄くて。感情を表に出すことを恥ずかしいと捉えている人が多いんじゃないかな」


村本さんが大切にしているのは、世間に流通している先入観にとらわれずに、自分の感覚でものを考え、発言すること。

「最近はネットニュースやSNSで見聞きしたことを鵜呑みにして、何でも分かった気になっている人が多いように感じます。それって、思考停止ですよね。分からないことは分からないと正直に言える大人でありたいですね」

2017年末には、原発や沖縄の基地問題、北朝鮮や日米関係などを盛り込んだ漫才をテレビ番組で披露し、大きな話題となった。

「言いにくいことをスルーするのが卑怯に思えて嫌なんです。世の中のリアルや悲しみを、笑いに乗せてちゃんと伝えることで、誰かの勇気になれればいいなと思っています」

時には「炎上商売」などと揶揄されてもまったく動じない村本さん。その真っすぐな姿に、スマートな男気が見えた。

村本 大輔(むらもと・だいすけ)

1980年、おおい町生まれ。
よしもとクリエイティブ・エージェンシー所属。2008年に中川パラダイスとともにお笑いコンビ「ウーマンラッシュアワー」を結成。
2013年に「NHK上方漫才コンテスト」「THE MANZAI2013」で優勝。
近年は単独での「独演会」を全国各地で開催。世相を鋭く切り取る語り口にファンが多い。

※掲載内容に誤りや修正などがありましたら、こちらからご連絡いただけると幸いです。

※本記事の情報は取材時点のものであり、情報の正確性を保証するものではございません。最新情報はお電話等で直接取材先へご確認ください。

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