FUKUI Gastronomy 越山若水えつざんじゃくすい)プロジェクトでは、この秋いよいよ“福井でしか味わえない”スペシャルイベントを開催!福井県内をめぐった5名の食のキュレーターと和洋中のシェフたちがタッグを組み、福井の食と風土を一皿に表現します。

福井の山・海・里の恵みを味わい、語らう特別な時間をお過ごしください!

《スペシャルイベント2025開催レポート一覧》

 

フードコラムニスト
門上武司さんと行く

10/19(日) 12:00〜
フードコラムニスト門上武司さんと行く福井レストラン
世界三大料理の二つを福井食材で愉しむ稀有な美食ランチ
トークセッション:高村刃物製作所 高村光一さん

フレンチ×中華、福井の食材が結ぶ“稀有なひととき”

2025年10月19日(日)、福井市の「ル・ジャルダン」で、FUKUI Gastronomy 越山若水スペシャルイベント「世界三大料理の二つを福井食材で愉しむ美食ランチ」が開催されました。

キュレーターは、『あまから手帖』編集顧問でフードコラムニストの門上武司さん。料理を手がけたのは、ル・ジャルダンの堀内亮シェフと、京都の名店「MOTOI」前田元シェフ。フレンチと中華、それぞれの流儀を融合させた一日限りの特別コースが披露されました。

冒頭には、堀内シェフが信頼を寄せる越前打刃物職人・高村光一さん(高村刃物製作所)が登場。門上さんとともに、包丁と料理の関係について語るトークセッションが行われました。

キュレーターの門上さん(左)と高村さん(右)

多くの料理人から絶大な支持を集める高村刃物製作所の包丁

コースでは、上海蟹のシェリー酒漬けや、堀内シェフのスペシャリテ「六条大麦とイカの温かいサラダ 汐うに風味のエキューム」、さらに前田シェフによる「スズキの麒麟蒸し 酸辣ソース」など、福井の風土を映す一皿が次々に登場。メインの「敦賀産 鹿ロースのロティ 2年熟成豆板醤ソース」は、二人の技と感性が交差する渾身の一品として会場を魅了しました。

上海蟹のシェリー酒漬け

六条大麦とイカの温かいサラダ 汐うに風味のエキューム

スズキの麒麟蒸し 酸辣ソース

敦賀産 鹿ロースのロティ 2年熟成豆板醤ソース

デザートには、「杏仁豆腐 越のルビー」や「富津金時のデクリネゾン 黒ゴマのグラス」など、中華とフレンチが軽やかに融け合う甘味が登場。ジャンルを超えて福井の食の可能性を映し出したひとときとなり、フィナーレでは、門上さんの温かな言葉と拍手に包まれ、会は幕を閉じました。

「中華のエッセンスを学ぶ貴重な機会となった」と堀内シェフ(中)。前田シェフ(左)も「福井の食材とクラシックなフレンチの対比が新鮮だった」と笑顔を見せました

<開催概要>
【日にち】2025年10月19日(日)
【時 間】11:40開場/12:00開宴/15:00終了予定
【会 場】ル・ジャルダン福井(福井県福井市文京4-28-16
【会 費】30,000円(税サ込・ドリンク別)
【参加人数】1名様~(中学生以上から参加可能)

10/19(日) 17:00〜
門上武司さん×マッキー牧元さん
東西食いしん坊が揃い踏み!
福井の人気中国料理店で初共宴の夜

「門上武司×マッキー牧元」東西食の巨人による無茶ぶり中華の会

2025年10月19日(日)、FUKUI Gastronomy 越山若水スペシャルイベント「門上武司さん×マッキー牧元さん 東西食いしん坊が揃い踏み!福井の人気中国料理店で初共演の夜」が開催されました。

左から門上さん、マッキーさん、皇龍の冨士夫妻

舞台となったのは、2024年にオープンした中華料理「皇龍」。京都の名店「大鵬」で10年修行を積んだ冨士大介シェフが、福井各地の食材を自在に操り、門上武司さん・マッキー牧元さんを唸らせる特別コースを披露しました。

門上さんの乾杯で会がスタート

「よだれ鶏」「福井産小松菜の腐乳炒め」「永平寺ジビエ 猪の焼売」など、福井ならではの食材を使ったメニューが並ぶ中、注目を集めたのは両氏の“無茶ぶり”リクエスト。

門上さんの希望による「回鍋肉」はキャベツではなく福井の旬野菜をたっぷり使い、辛味の奥行きを楽しむ一皿に。マッキーさんの希望による「水煮魚」は三方五湖産雷魚の淡白な旨みに四川の刺激が重なる逸品として会場を魅了しました。

皇龍名物の「よだれ鶏」

「福井産小松菜の腐乳炒め」はやさしい味わい

「回鍋肉」は本来、葉ニンニクと一度茹でた豚肉を使った料理で、キャベツは使わないのが本場の食べ方

「水煮魚」は川魚と唐辛子を水で煮込む四川の素朴な料理

冨士シェフは「初めてのイベント開催でしたが、心から楽しんで料理ができました」と笑顔。マッキー牧元さんも「ロードサイドという立地で自分の信念を貫く姿勢に感動しました」とエールを送りました。

東西の食の巨人と福井の若き料理人が織りなす、熱い一夜となりました。

<開催概要>
【日にち】2025年10月19日(日)
【時 間】16:30開場/17:00開宴/20:00終了予定(東京・関西とも最終列車にお乗りいただけます)
【会 場】中華料理 皇龍(福井県福井市飯塚町29-101
【会 費】お食事・飲み放題・サービス料込み 20,500円
※特別なお酒はキャッシュオンでご用意しております
【参加人数】1名様〜

タベアルキスト
マッキー牧元さんと行く

10/18(土) 17:00〜
タベアルキスト マッキー牧元さんと行く福井レストラン
福井前の寿司と酒肴
福井の地酒を愉しむ夜

福井の食を握る。越山若水スペシャルイベント第一夜「鮨処 海月」で開幕

FUKUI Gastronomy 越山若水(えつざんじゃくすい)プロジェクトのスペシャルイベントが、いよいよスタートしました。

記念すべき第1回は、2025年10月18日(土)、福井市の人気寿司店「鮨処 海月(くらげ)」で開催。キュレーターを務めたのは、タベアルキストのマッキー牧元さんです。

キュレーターのマッキー牧元さん

乾杯は、黒龍酒造が手がける希少なスパークリング日本酒「ESHIKOTO AWA」から。ゆるやかに泡が立ちのぼるグラスを手に、福井の夜がはじまりました。

カウンターに立つのは、「鮨処 海月」の店主・郷北斗さん。江戸前寿司ならぬ“福井前”寿司を掲げ、ネタのひとつひとつに土地の物語を込めます。

郷さんが語る食材や生産者の話も楽しみのひとつ

マグロやウニといった定番をあえて使わず、生のハタハタや若狭マハタ、炙った頭の味噌をのせた甘エビの握り、永平寺の郷土料理「葉っぱ寿司」など、一貫ごとに福井の海・川・里がつながります。

さらに九頭竜川の鮎、三方五湖のモクズガニ、福井の海女が採る「すがも(菅藻)」など、郷さんが自ら足を運ぶなかで出会った食材も、季節の日本酒とともに登場しました。

生では珍しいハタハタの握り

越前町で水揚げされたあんこうの煮込み。自家製の豆板醤を添えて

アブラギリの葉で酢飯と一緒にマス、しょうがなどを包んだ永平寺町の郷土寿司「葉っぱずし」。今回はアカメガシワの葉を使い、中には2日間漬けにした鯖が

口の中に磯の香りが漂う「すがもと汐うにのしゃり粥」

会場には、福井だけでなく、東京、神奈川、長野、さらにはアメリカからも参加者が集結。

郷さんの軽妙な語りと、マッキー牧元さんの食談義に、満席のカウンターは笑顔と拍手に包まれました。“福井の旬を握る”。その言葉を体現するような、記念すべき一夜の幕開けでした。

<開催概要>
【日にち】2025年10月18日(土)
【時 間】16:45開場/17:00開宴/20:00終了(東京最終にお乗りいただけます)
【会 場】鮨処 海月(福井県福井市順化1-10-2
【会 費】お食事・日本酒込み 27,000円(税サ込)
※十分ご用意しておりますが飲み放題ではございません
【参加人数】1名様〜最大2名(中学生以上から参加可能)

10/25(土) 17:00〜
マッキー牧元さんと行く福井レストラン
マッキー牧元さんと行く
福井の食図鑑をめくるように楽しむフレンチ・ペアリングの特別体験

きっちょんどん豆腐、麩市の地辛子、モクズガニ…地元食材のソースが導く、新たな福井フレンチ

2025年10月25日(土)、福井市のフランス料理店「L'aisance(レゾンス)」にて、FUKUI Gastronomy 越山若水スペシャルイベントが開催されました。

キュレーターを務めたのはタベアルキスト・マッキー牧元さん。「昔ながらの郷土料理や食材には、先人の知恵がぎゅっと詰まっています。フランス料理の技術で福井の食を体験してもらいたい!」という言葉で、食の旅が幕を開けました。

今回のキュレーター・マッキー牧元さん

福井県産の食材にこだわる吉川正裕シェフと、マカロン王子こと赤江和隆シェフが交互にリードし、計8皿のコースが次々に供されます。

吉川シェフ(左)と赤江シェフ(右)の息のあったコンビネーション

ペアリングには、おさけとワイン「みずもと」飯田雄真さんが登場。日本酒、スパークリング、樽熟成のライスワインまで、温度・量・燗付けを緻密に設計し、参加者を魅了しました。

福井の酒を知り尽くす「みずもと」飯田さん

乾杯は「永平寺白龍 KEG DRAFT 純米吟醸」。炭酸をたっぷり含む生原酒とともに、薪火の炎で燻製された甘えびとチーズ香るうるかを添えた鮎のアミューズがひらりと登場。海の幸と川の幸を結ぶ、九頭竜川のほとりの風景が想起されます。

甘えびとチーズ香るうるかを添えた鮎のアミューズ

続いて、福井県池田町の保存食「ばんこ餅」をトッピングした富津金時のスープ。よもぎ、もち米、うるち米で作られた丸餅の香ばしさと、さつまいものやさしい甘みが重なり、福井の里の情景が静かに広がります。続く冷製のサワラには、福井県北部・坂井市三国の豆腐屋「きっちょんどん」による微粉砕豆腐ソースを合わせ、鰆の脂と豆の旨味が繊細な調和を描き出しました。さらに薪火でローストしたスズキに九頭竜川で獲れたモクズガニのビスクソースを添えた一皿では、山・川・海がつながる福井の豊かな食の風景が、力強くも優雅に表現されていました。

「ばんこ餅」をトッピングした富津金時のスープ

三国の豆腐屋「きっちょんどん」による微粉砕豆腐ソースを合わせた冷製のサワラ

九頭竜産モクズガニのビスクソースを添えたスズキ

九頭竜川の恵み、モクズガニは濃厚なミソが特徴

そして、肉料理では子羊(ホゲット)を部位違いでロースト&煮込み、福井県産からし種を使用した「地がらし」を練り込んだコラーゲン出汁と辛子ソースで仕上げるなど、技と素材の掛け算が光る構成です。締めには、三里浜で採れたオリーブオイルの香りと新高梨・パセリの青い香りを活かしたデザートが登場し、軽やかな余韻の中で一夜は幕を閉じました。

肉が焼き上がると歓声が!マッキーさんも思わず写真を撮ります

デザートにも福井のエッセンスが詰まっていました

県内各地の生産者を訪ね、その食材を料理に生かしている吉川シェフと赤江シェフ。

「福井といえばカニのイメージだったけど、知らない食材ばかりで驚いた」と参加者のみなさん。マッキーさんは「郷土の知恵を掘り起こし、薪火とフレンチ技法で再構築。生産者の思いや素材のルーツ、価格背景までを伝えるコースになった」と総括しました。福井の食の新たな可能性を照らす、記憶に残る一夜となりました。

<開催概要>
【日にち】2025年10月25日(土)
【時 間】16:45開場/17:00開宴/20:00終了(東京最終にお乗りいただけます)
【会 場】L'aisance(レゾンス)(福井県福井市高柳1-712
【会 費】お食事・5種の地酒ペアリング込み 25,000円(税サ込)
【参加人数】1名様〜最大2名

10/26(日) 11:40集合 ※送迎付き
マッキー牧元さんと行く福井レストラン
山の中にひっそりと佇む実力派日本料理店

名田庄「崇」で、里山に宿る福井の記憶を味わう

FUKUI Gastronomy 越山若水スペシャルイベント「マッキー牧元さんと行く福井レストラン|山の中にひっそりと佇む実力派日本料理店」が、2025年10月26日(日)、名田庄の日本料理店「崇(すう)」にて開催されました。

名田庄の山間に佇む「崇」。地域の人たちに愛されていた店主の曽祖母・田中すうさんが店名の由来

今回のゲストは、タベアルキスト・マッキー牧元さん。グルメサイト「食通が選ぶベストレストラン」において唯一無二の日本料理店として「崇」を選出した張本人でもあります。

崇の料理を「生産者や故郷に敬意を抱いた慈愛に満ちた料理」と表現するマッキー牧元さん

舞台となった名田庄エリアは、陰陽道の流れを受け継ぐ神秘的な土地。清らかな水と深い山々に抱かれたこの地に、静かに暖簾を掲げる「崇」は、まさに“わざわざ訪れたい料理屋”です。料理を手がける田中俊祐さんは、名田庄に生まれ育ち、京都の名店「菊乃井」で10年修行を重ねてきました。その料理には、修行で培った技と、故郷への深い愛情が美しく溶け込んでいます。

店主の田中俊祐さん

色とりどりの八寸。自ら畑で育てた野菜も料理に登場

今回のスペシャルイベントでは、田中さんが愛する名田庄の野菜やジビエ、若狭湾の魚などをふんだんに使った一日限りの特別なコース料理が提供されました。特に喝采を集めたのは、名田庄で採れた松茸と若狭湾で水揚げされた甘鯛「若狭ぐじ」、さらに豊年を願う米俵に見立てた新米をあわせた椀物です。

若狭ぐじ豊年椀

また、炭火でじっくり焼き葛の葉の香りをつけたあまごの塩焼きも里山の風土が感じられる一皿です。添えられた新米の重湯と出汁があまごの風味を引き立てます。

あまごの塩焼き

この日提供された料理はどれも緻密かつ繊細でありながら、同時に名田庄の里のぬくもりが感じられるものばかり。「わざわざ足を運んでいただける田舎の料理屋」という田中さんの理念が強く感じられました。

鹿肉には柚子胡椒やバジル麹とあわせて

炊きたてのごはんとともに出されたのは熊肉とすっぽんの椀物、鯖のなれ鮓

会の最後、田中さんは「遠くから来ていただき緊張もありましたが、和やかに召し上がっていただけて本当にうれしいです。若狭と名田庄の魅力が、少しでも皆さんの心に残れば」とコメント。参加したみなさんにとっても忘れがたい福井の記憶となったはずです。

<開催概要>
※本イベントは敦賀駅集合です。店舗集合ではありません。ご注意ください。
【日にち】2025年10月26日(日)
【時 間】11:40敦賀駅集合(まちなみ口・西口改札付近)→12:30日本料理 崇→14:30終了予定→15:30敦賀駅解散
【会 場】日本料理 崇(福井県大飯郡おおい町名田庄三重18-51
【会 費】税・サービス料・無料送迎込み 30,000円(ドリンク別)
【参加人数】1名様〜最大2名

料理家・エッセイスト
山脇りこさんと行く

10/25(土) 14:30~
料理家・エッセイスト山脇りこさんと行く
越前ワイナリー見学&新生薪火レストラン体験

越前テロワールの真髄を味わう。TSUKIHIでしか出会えない一夜

2025年10月25日(土)、「FUKUI Gastronomy 越山若水」スペシャルイベント第5弾が、越前市のレストラン「TSUKIHI」で開催されました。

キュレーターは料理家・山脇りこさん。初訪問時に「見つけてしまった!いずれ予約が取れなくなるはず」と語ったほど、その空間と哲学に心を奪われた一軒です。

キュレーターの山脇りこさん(中)

食事に先立ち、参加者は敷地内に併設されたワイナリー「SIX THREE ESTATE」を見学。創業者・西野恒樹さんに、耕作放棄地を開墾して始めた葡萄栽培と、自然発酵・無添加・無濾過にこだわる醸造への思いをご紹介いただきました。越前市白山地区の畑で育った葡萄から生まれるワインを、その土地の料理とともに味わう、この一体感こそがTSUKIHIの魅力であり、越前テロワールの真骨頂です。

越前市白山地区で一から葡萄栽培をスタートさせた西野さん

発売前のワインも特別に試飲

見学後は、いよいよレストラン「TSUKIHI」へ。越前和紙、越前箪笥、越前瓦など地元の伝統工芸が静かに息づく設えは、まるで修道院のような厳かな雰囲気。訪れる人を越前の風土へと導きます。

料理を手がけるのは長屋恭平シェフ。キッチンにはガスも電気もなく、薪火と炭火のみを使った「火と水の料理」が供されます。

イタリア、東京、大阪と各都市で料理の研鑽を積んだ長屋シェフ

薪と炭を駆使し、理想的な火加減を実現します

奥井海生堂の昆布で締めたアオリイカの「昆布 塩雲丹」、精進の精神に寄り添うそばがき、燻製した鹿と椎茸のクロスティーニ、甘エビのタリオリーニ、若狭牛イチボの薪焼き、越前粘土包焼きの富津金時…いずれも越前の土と水、火の記憶を宿す一皿ばかり。

TSUKIHIのシグニチャー「鹿と椎茸のクロスティーニ」

越前の粘土で野菜を包んで焼くことで旨味が凝縮

若狭牛のイチボは絶妙な火入れ

福井の食材を引き立てるタリオリーニ

葡萄の枝や搾りかす、澱までも香りや旨味に転用する循環の姿勢は、TSUKIHIならではの美学。発酵と醸造の知恵を料理に重ねる長屋シェフは、「福井の精進料理や報恩講料理に通じる自然への感謝と謙虚さも、料理の芯に据えていきたい」と話します。

湧き水で米を炊き、出汁を引き、野菜を煮る。その一つひとつに薪火で深みを与える料理は、見た目はスタイリッシュなのに、どこか体の奥にすっと染みわたるような優しさもありました。

実際に参加した方からは「こんなに素材の匂いを感じるコースは初めて」「越前の土地にこんなにも魅力的な食材や文化があるのは知らなかった」といった声が。

また、SIX THREE ESTATEのワインも「これこそ福井の新しいテロワール」との声があがるほど、すべての料理に寄り添うペアリングでした。食と工芸、そしてワインが美しく響き合うTSUKIHIでのひとときは、越山若水が描く“今の福井”を、五感で鮮やかに体感したひとときとなりました。

<開催概要>
【日にち】2025年10月25日(土)
【時 間】14:00開場/14:30ワイナリー見学/16:30TSUKIHIでディナー/19:50閉会(越前たけふ駅より東京最終にお乗りいただけます)
【会 場】シックススリーエステートワイナリー、TSUKIHI(福井県越前市葛岡町8-10-1
【会 費】お食事・ワインペアリング込み 39,000円(税サ込)、お食事・ノンアルコールペアリング込み 34,000円(税サ込)
【参加人数】1名様〜最大4名

10/26(日) 17:00~
料理家・エッセイスト山脇りこさんと行く
歴史ある街に誕生した新生・日本料理店で美食体験

郷土のぬくもりを一皿に。浜町「緒ばた」で味わう越山若水

2025年10月26日(日)、「FUKUI Gastronomy 越山若水」スペシャルイベント第7弾が、2024年に福井市・浜町に誕生した日本料理店「緒ばた」にて開催されました。

かつて料亭街として栄えた浜町に静かに暖簾を掲げる「緒ばた」は、越前がにをはじめ福井の旬と文化を丁寧に伝える一軒。キュレーターの山脇りこさんとともに、「行ってみたい」と集まった参加者が、福井の旬を堪能しました。

キュレーター山脇りこさんの乾杯でイベントがスタート

この日の献立には、店主・小幡恭介さんの福井への深い愛情が随所に感じられました。潔い小蕪の炊いたんに始まり、大豆を丁寧に擦った郷土料理の呉汁、葉寿司は家庭料理の域を超え、鯖の締め具合の妙が際立つ仕上がりに。向付には、艶やかな鰹、皮目に繊細な仕事を施した鯛、イカを、醤油に頼らない三種の合わせだれで。ベニズワイ蟹の椀物からは鰹昆布出汁のやさしい香りが部屋いっぱいに広がりました。

蕎麦の実がちょこんと乗った小蕪の炊いたん

あわら市のレンコンと揚げを使った呉汁

永平寺地区に伝わる葉っぱ寿司

思わず「ああおいしい」と声が出るベニズワイ蟹の椀物

続く小浜市・北川の子持ち鮎は、秋を告げる滋味。珍しい赤ずいきの親芋・八つ頭とあわせて天ぷらに。

鮎を厨房で揚げる様子も実況中継。臨場感たっぷりで食欲をそそります

八つ頭天ぷらは、里芋とも海老芋とも異なる、ほのかな甘みが印象的

そして圧巻はごはん。勝山・平泉寺の棚田で育った新米コシヒカリが供され、参加者から歓声が。お新香類やメギスを塩水で煮た「メギスの塩入」など、ごはんのお供も数多く登場し、誰もが無言で箸を進めます。思わずおかわりの声が重なる光景に、福井の米の底力が映し出されました。

おかわり続出。締めで梅鯛茶漬けも楽しみました

小幡料理長の誠実で実直な人柄が、そのまま料理に映るような一夜。料理長を支えるように、この日はお父様もサービスに立ち、世代を超えた福井の食文化の継承を感じさせる贅沢な時間となりました。

小幡料理長(中)を囲む、お父様の美治さん(左)とキュレーターの山脇さん(右)

県外からの参加者は「福井って、こんなに多彩な食材があるんですね」と驚きの様子。

県内在住の参加者も「地元にいながらもまだまだ知らない福井の食の魅力がある」と料理の説明に真剣に耳を傾けている様子が印象的でした。

<開催概要>
【日にち】2025年10月26日(日)
【時 間】16:40開場/17:00開宴/20:00終了
【会 場】浜町 緒ばた(福井県福井市中央3-13-16
【会 費】20,500円(税サ込・ドリンク別)
【参加人数】1名様〜最大2名(中学生以上よりご参加可能)

フードジャーナリスト
柴田泉さんと行く

11/23(日) 12:00~
フードジャーナリスト柴田泉さんと行く
福井レストランと食の物語
創業148年福井の青果店×フランス料理

フードジャーナリスト柴田泉さんと行く 創業148年福井の青果店×フランス料理

2025年11月23日(日)、福井市のフレンチレストラン「Fukui French Aujus(オージュ)」にて、FUKUI Gastronomy 越山若水スペシャルイベント「創業148年福井の青果店×フランス料理」が開催されました。キュレーターは、『料理王国』編集長でフードジャーナリストの柴田泉さん。

今回は、福井で創業148年を迎える老舗青果店「八百五商店」6代目・松尾輝一さんと、Aujusの松塚高澄シェフがタッグを組み、福井の伝統野菜「福井百歳やさい」を主役にしたコースが披露されました。

左から、キュレーター柴田泉さん、松塚高澄シェフ、八百五商店の松尾輝一社長

会場に入ると、足羽川の桜をモチーフにした空間に越前和紙の柔らかな光が揺れ、ゆったりとした時間が流れます。各テーブルには、八百五商店の松尾さんが選んだ伝統野菜が並び、参加者の期待がふくらみます。

足羽川の川面に浮かぶ桜の花びらをモチーフにした室内。あしらわれた越前和紙の温かみは、心地よい落ち着きを与えてくれました

料理に使われた福井の伝統野菜(八百五商店)

最初のアミューズは、朝獲れのガスエビとイカのタルタル。鮮度が落ちやすく地元でしか味わえないガスエビの甘みが、ウニと黄金梅の2種のソースで引き立ちます。その上には敦賀産「杉箸アカカンバ」の中心の白い部分だけを2度裏漉しし、バターの力だけで固めたババロアが。繊細な仕上がりに、会場から思わず感嘆の声が漏れました。

温前菜は、おおい町産の椎茸とフォアグラを合わせた濃厚なフラン。ふわりと香る椎茸にフォアグラが重なり、滋味深い一皿です。

鮮度が落ちやすく地元でしか味わえない「ガスエビ」の濃厚な甘みを活かした一皿。シャドークイーンのチップスが食感のアクセントに

奥越産キノコのコンソメとフォワグラのフラン おおい町産しいたけを敷き詰めて

魚料理には、敦賀産小鯛のヴァプール(蒸し料理)。水分を多く含む小浜産・谷田部ねぎの特性を生かし、ねぎ自身の水分で蒸す「エテュベ」で火入れされています。食材の力を素直に味わえる仕立てです。

朝採れ敦賀産小鯛のヴァプール 小浜産谷田部ネギのエテュべと越前春菊のブール・ブラン

メインの肉料理は、三ツ星若狭牛を炭火でシンプルに焼き上げた一皿。付け合わせには、名物「上庄さといも」を使ったドフィノワ(グラタン)。伝統料理「煮っころがし」を超えるべく、チーズとナツメグで奥行きをもたせた松塚シェフの解釈が光ります。

三ツ星若狭牛シャトーブリアンの備長炭炭火焼き 大野上庄さといものドフィノワ、銀杏、むかごが添えられています

パンは、南越前町今庄の希少な「つるし柿」を練り込んだパン・ド・カンパーニュ。燻した香りがふわっと広がり、ワインとの相性も抜群です。

最後に香ばしい煙を立てて登場したのは、デザートの越前甘蜜を使ったデセール。落ち葉の山をイメージしたカカオコーティングには、シェフが秋の遊び心を忍ばせています。

自家製今庄いぶし柿のパン・ド・カンパーニュ

越前甘蜜を使ったデセール〜焼き芋のイメージ〜

料理の合間には八百五商店の松尾さんが実物の野菜を持って各テーブルをまわり、みなさんに伝統野菜の魅力をお伝えしてくれました。特に大野産上庄さといもの手のひらサイズの大きさには、会場一同が驚きの表情。その地域が育むおいしさが、「福井百歳やさい」を唯一無二にしています。

越前甘蜜と大野産上庄さといもの実物を持ちながら魅力をお伝え

食事の後は、柴田さんを交えたトークセッションへ。

松塚シェフは、小学6年生の時に観た『料理の鉄人』に憧れ、料理の道へ。フランス料理のエッセンスを持ちながら、日本の食材に寄り添う「骨格のある優しさ」を目指していると語ります。

また、八百屋の松尾さんのような信頼できるプロから多様な食材を教えてもらい、料理のクリエイションに集中する「効率の良いスタイル」を大切にしていると明かしました。

一方、松尾さんは、伝統野菜の生産者が高齢化し、後継者不足の危機にあると説明。「八百五の役目は、野菜を買い支え、料理人へ届ける架け橋。福井の強みは人とのつながり。だからこそ料理人の要望にすぐ応えたい」と話し、静かな熱意に会場が引き込まれました。

松尾さんが持っているのは敦賀産杉箸赤かんば。「料理では真っ白なババロアに仕上がっていて驚きました」

福井県が誇る「福井百歳やさい」は、この土地の風土がぎゅっとつまった素材でもあり、県外の方のみならず福井の人にとっても珍しいもの。伝統野菜を使った料理を通して、福井を再発見する楽しさと喜びを共有していただきました。

福井の土地が育んだ野菜と、それを受けとめ新たな一皿へと昇華させる料理人。青果店とレストラン、食材と技術、人と人。そのつながりを深く感じたイベントでした。

<開催概要>
【日にち】2025年11月23日(日)
【時 間】11:30開場/12:00開宴/15:00終了
【会 場】FUKUI French オージュ(福井県福井市中央3-10-12 ホテルリバージュアケボノ本館2F
【会 費】24,000円(税サ込・ドリンク別)
※中学生以上の方からご参加いただけます。
【参加人数】1名様~4名

ミュージシャン
小宮山雄飛さんと行く

11/9(日) 17:00~
お蕎麦大好きミュージシャン小宮山雄飛さんと行く
福井✕東京の蕎麦
福井の酒肴で一夜限りの宴

絶品蕎麦と酒肴でめぐる、福井と江戸の味わい

2025年11月9日(日)、FUKUI Gastronomy 越山若水スペシャルイベント「福井 × 東京の蕎麦 福井の酒肴で一夜限りの宴」が開催されました。

この日の案内役は、無類の蕎麦好きとして知られるホフディラン・小宮山雄飛さん。越山若水で福井県内の蕎麦店をめぐるなかで「これは本当にうまい」と5店舗の蕎麦店をセレクトしました。

今回はその中でも「味も喉越しも最高」と太鼓判を押した福井市の「そば割烹 よいん」が登場!さらに東京からは創業1789年、江戸最古の蕎麦屋「更科堀井」との夢の共演が実現しました。

福井県内の蕎麦店をめぐったキュレーターの小宮山雄飛さん

会場となったのは、ミシュランガイド北陸版にも掲載され、圧倒的な品数と味で“福井最強の居酒屋”とも称される「猿の盃」。福井の食文化と東京の蕎麦文化が交差する、まさに越山若水らしい一夜の幕開けです。

イベントがスタートするとまずは「猿の盃」の店主・鈴木宏和さんたちが腕を振るった料理が続々と登場!テーブルに並ぶ酒肴の数々に、心が踊ります。へしこ、だだみ(白子)、セイコガニ寿司、天ぷら、鯖サンド…。福井の食材に福井の地酒が進みます。

厚揚げやへしこ、白和えなど前菜も充実

福井では「だだみ」の名称で親しまれている白子

越前がにが解禁!うにといくらも入ったカニのお寿司

しめ鯖を軽い食感のパンで挟んだ和風鯖サンド

蕎麦はまず、更科堀井の10代目・堀井良弘さんによるさらしな蕎麦から。

驚くほど白く、つるりと軽やかな口当たりは、福井の蕎麦とはまったく異なる印象です。季節限定の「柚子切り」は、ふわりと立つ柚子の香りが心地よく、蕎麦の奥行きを感じさせてくれました。

さらしな蕎麦が白い理由は、そば殻を使わず実の部分のみを使用する製法によるもの。江戸時代、殿様へ運ぶ際にくっつかないよう工夫された名残でもあるそうです。

白くて細いのがさらしな蕎麦の特徴

冬の時期に登場する「柚子切り」

続いて登場した「よいん」福嶋康之さんによる十割蕎麦は、細く美しく、するりとした喉ごし。それでいて噛むほどに福井在来種らしい香りと旨みが広がります。「同じ蕎麦でも、東京と福井でこれほど表情が変わるのか」と、参加者からも驚きとともにさまざまな感想が交わされました。蕎麦だけでなく、両店の出汁を使っただし巻き卵の食べ比べも、違いを楽しむ一皿に。

大野・勝山の在来種を使った十割そば

かつおと昆布出汁が香る「よいん」(右)、昆布は使わずほのかに甘めの「堀井」(左)。同じだし巻きでもまったく異なる味わい

さらに登場したのは、よいん特製のソースカツ丼。酸味の効いたソースとやわらかなカツ、しっかりとしたご飯の相性に、「これぞ福井の定番」と納得の声も。そばの合間に挟まれる福井らしい一品が、満足感をさらに高めてくれました。

こだわりのソースは創業からつぎ足したもの

気づけば杯も進み、笑い声があふれる会場は大盛り上がり。雄飛さんの軽やかなトークと、料理人のみなさんの誠実な仕事。その空気ごと味わうような夜でした。

雄飛さんと乾杯!

右から「猿の盃」の鈴木さん、「更科堀井」の堀井さん、「よいん」の福嶋さん、小宮山さん

特別で、でもどこか肩の力が抜けた、あたたかな時間。「福井の食はやっぱり面白いな」と素直にそう思える、そんな一夜でした。

<開催概要>
【日にち】2025年11月9日(日)
【時 間】16:30開場/17:00開宴/20:00終了(東京・関西とも最終列車にお乗りいただけます)
【会 場】猿の盃(福井県福井市順化2-21-1
【会 費】お食事・飲み放題・サービス料込み 20,000円
【参加人数】1名様〜最大4名

 

FUKUI Gastronomy 越山若水プロジェクト
福井県交流文化部誘客推進課委託事業
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