【Special Interview】「女を売らず、女を捨てず」40年。「スカートを穿いたオヤジ」の経営哲学[萩原扶未子氏 株式会社G&S]

(左)株式会社G&S 代表取締役 萩原 扶未子氏、(右)DEN Planning 代表 藤田 伸朗氏
早くから時代の変化を捉え、男社会の荒波を「女を売らず、女を捨てず」という信念で切り拓いてきた(株)ジーアンドエス 代表取締役社長 萩原扶未子氏。
しなやかな感性と揺るぎない行動力で、多くの挑戦と決断を重ね、力強く、経営者として確かな足跡を刻んできました。
今回、「バリバリ働くイケてる経営者」を“スーツオヤジ”とする本誌の定義を体現してきた萩原さんにインタビューさせていただきました。
株式会社G&S 代表取締役 萩原 扶未子
ジェンダー特性を活用した「女性管理職育成」「女性活躍推進」「コミュニケーション力アップ!」を専門としたコンサルタント。
【聞き手】DEN Planning 代表 藤田 伸朗
オーダースーツサロン「the」を経営する株式会社DEN planning代表。
押し入れから始まった起業。社会的信用は、自社ビルと借金で勝ち取った

藤田 「スーツオヤジ図鑑」という名の媒体ですが、このタイトルはどう映りましたか?
萩原 私自身、ずっと男性の中で仕事をしてきて、昔から「スカートを穿いたオヤジ」と言われ続けてきたので、むしろ自分のことだと思いました(笑)。
もしタイトルが「お嬢さん」向けだったら、私にはちょっと違うかなと違和感があったかもしれません。
私をよく知る人ならここに私が出ていることを誰も疑問に思わないはずです。
これも一つの多様性の提案になればいいなと思っています。
藤田 キャリアのスタートは、コンピューター業界だったとお聞きしました。
萩原 新卒でコンピューター業界に入りました。COBOL、BASICというプログラミング言語を使ってシステムの開発をしていました。
大規模病院の地下コンピューター室にこもって働いていたときにも現場には女性は私一人という状況でした。
土日も夜もなく25歳まで働いていたのですが、結婚と大きな病気が重なり退職して家庭に入ったため、しばらくすると時間を持て余すようになってしまいました。
そこで仲間に「暇だ!」と伝えたら、データ入力やプログラムの仕事が舞い込んできました。押し入れに機材を置いて始めた仕事が、私の起業の原点です。

藤田 そこからどのようにして「株式会社」へと成長させていったのでしょうか。
萩原 最初はアルバイトを雇う程度の個人事業でしたが、仕事も徐々に増え「個人だと仕事を発注しにくいから会社にしてよ」と言われたんです。
当時は法人の設立も難しく、休眠会社を買い取って社名を変更しました。
さらに「女性は結婚して子供ができたら辞めちゃうから、自社ビルを建てて借金しなさい。そうすれば辞められなくなるから」とアドバイスされました。
法人格、自社ビル、借入金、正社員。この条件が揃って初めて、女性が安心して仕事を任せてもらえる、そんな時代だったんです。
藤田 28歳で金沢の青年会議所(JC)に女性第一号として入会された際もご苦労があったそうですね。
萩原 体育会系の集まりだとは知らずに入ってしまったんです(笑)。
「女は家に帰れ」と言われる一方で、行かなければ「女だと思って甘えている」と言われる。
笑顔で行けば「女を売っている」と言われ、笑顔がなければ「ツンツンしている」。
どっちに転んでも叩かれる中で私が貫いたのは、「女を売らず、女を捨てず」というスタイルでした。
でも、金沢青年会議所で学び、育てていただいた経験が今の私を支えています。
40歳でプツンと糸が切れた。そこから始まった教え子5000人の第二の人生

萩原 私と溺愛していた愛犬を立て続けに亡くしたんです。仕事に追われ看病もままならない中で愛犬が逝った時、プツンと糸が切れて「もう無理だな」と思いました。
そこで事業と社員を譲渡し、研修やコンサルティングに完全に切り替えたんです。
自分が起業時に知識がなくてとても苦労したので、次世代の女性起業家の支援を始めました。
行政と組んで全国で教え、出身者は5000人を超えます。背負うものがなくなった時、ようやく身軽になれました。
藤田 仕事もプライベートも、最新のAIツールを使いこなされていますが習得の源はどこにありますか?
萩原 単純に新しいものが好きで面白いと思えるんです。レジュメ・企画書・議事録作成含めて、AIをフル活用していますし、家電はAlexaと連携させて使っています。
今はAIが面白いですね。嫌いなことはやらない、好きなことはとことんやる。
情報格差が広がる時代だからこそ、プロとして学び続けることが重要だと考えています。
AIは仕事を奪うものではなく、代替してくれるもの。基礎を固めたプロが使いこなせば、さらに上のレベルに行ける。その試行錯誤が楽しくて仕方ないんです。
藤田 最後に、次世代の経営者や若い世代へメッセージをお願いします。
萩原 今はダイバーシティの時代です。「こうあるべき」と決めつけず、多様性を受け入れる柔軟さを持ってほしい。
そして、迷ったらとにかくやってみること。「やらなきゃよかった」と後悔するのはもったいない。
失敗してもそれはすべて自分の知識と経験という財産になります。
今は「明るく、楽しく、無理をせず」。自分が面白いと思う仕事だけを、自然体で意気揚々と楽しんで欲しいなと思います。
株式会社G&S
ジェンダー特性を活用した「女性管理職育成」「女性活躍推進」「コミュニケーション力アップ!」を専門としたコンサルタント。300名以下の中小企業をメインに、約20年、5000人超の実績を持つ。独自の『ジェンダー本質の違い』を活用することで、女性はもちろん男性の意識改革にも大きく役立て、働きやすい職場作りや、新サービスや商品づくりのキッカケになったと高評価を得ている。
代表取締役社長 萩原 扶未子
所在地 石川県金沢市笠舞本町2-6-3-313
TEL.076-222-7234
※本記事の情報は取材時点のものです。最新情報はお電話等で直接取材先へご確認ください。
